サイトアイコン ニッポン旅マガジン

全国の人気駅弁(4)稲荷寿し(壺屋)

稲荷寿し(壺屋)

愛知県豊橋市、東海道本線・豊橋駅の名物駅弁が、壺屋の稲荷寿し。もともと豊川の舟運を利用する旅人や船頭を相手に旅館を営んだ壺屋(明治2年創業)が、明治21年、東海道本線開業を見越して、豊橋駅前に旅館を開業、明治22年の豊橋駅開業とともに構内営業を開始し、明治時代末期に売り出したのが「稲荷寿し」です。

明治末期売出しの稲荷寿しは、ルーツの味を踏襲

豊橋駅

昭和39年の東海道新幹線開業とともに、上下線のホームに売店を開業、まさに豊橋駅の駅弁として発展したのが壺屋の「稲荷寿し」。
三河賂弁当、あなご寿し、かにちらし、味めぐり伊良湖、ヒレカツ弁当、潮騒ちらしなど時代に合わせて新製品を発売していますが、定番はやはり、「稲荷寿し」。

もともと日本の稲荷寿司のルーツは、豊川稲荷といわれ、奉納された油揚げを甘辛く煮てご飯を詰めた「あぶらげずし」が江戸時代後半に誕生したのが始まりといわれています(稲荷寿司のルーツに関しては諸説ありますが、豊川稲荷が有力です)。
農林水産省も、愛知県の郷土料理に認定する稲荷寿司(あぶらげずし)で、「あぶらげずし」と「巻きずし」の組み合わせを「助六」と呼んだのも名古屋が最初。

稲荷寿司の歴史を今に伝える愛知県内の老舗といえば、その筆頭が、壺屋。
甘辛く煮た揚げは、日持ち、旅人の疲れの解消を考えての濃いめの味付け。
注目は、半分にカットした油揚げは、熱湯で油抜きを行なうなど、今もひとつひとつ丁寧に手作業でつくられる点。
地元三河産の醤油に、白ザラメをたっぷりと加え、大鍋で発売以来という煮汁に醤油を加えながら40分〜45分炊き上げます。
甘さは、他店の2倍と自称するほどで、油揚げも豊橋市内に特注するこだわり。

こってり甘辛い7個の稲荷寿しが入ったのが定番の稲荷寿し。
甘いのが苦手という人も、壺屋の稲荷寿しはOKというのは、赤味噌(豆味噌)文化で育まれた三河産醤油とのマッチングから。

自慢の稲荷ずしとわさび稲荷、ちりめん山椒の稲荷との詰合せ「三色稲荷」も人気です。

全国の人気駅弁(4)稲荷寿し(壺屋)
関連HP 壺屋公式ホームページ
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

全国の人気駅弁(1) 越前かにめし(番匠本店)

福井県福井市、明治29年7月15日に官設鉄道福井線の駅として開業の福井駅。開業から6年後の明治35年に駅弁の販売を開始したという老舗が番匠本店です。令和6年3月16日の北陸新幹線福井駅開業で注目される駅弁が、名物駅弁「越前かにめし」です。セ

全国の人気駅弁(2) 牛肉どまん中(新杵屋)

平成4年7月1日の山形新幹線(東京駅〜山形駅間)開業にあわせて開発されたのが、米沢駅・新杵屋の駅弁、「牛肉どまん中」。山形県産米「どまんなか」を使い、その上に特製のタレで味付けした牛そぼろと牛肉煮をのせた牛丼風の駅弁で、今では全国駅弁の中で

全国の人気駅弁(3)いかめし(阿部商店)

北海道茅部郡森町、噴火湾に臨む函館本線・森駅の名物駅弁が、いかめし。元祖「森のいかめし」を名乗るように、戦時下の昭和16年、阿部商店の初代・阿部喜三男の妻・静子が、当時豊漁だったスルメイカに目をつけ、なかにご飯を詰めたのが始まりで、今では渡

全国の人気駅弁(5)サンドウィッチ(大船軒)

明治32年、日本で最初にサンドウィッチを駅弁として発売したのが、東海道本線大船駅で駅弁を販売した大船軒。明治21年、大船駅前に旅館を開業した富岡周蔵(とみおかしゅうぞう)が、当時のハイカラな洋食だったサンドウィッチに目をつけ、明治32年2月

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了