国内の最高気温41・1度の記録を持つのは埼玉県熊谷市。ではでは、平地で日本で一番涼しい夏を迎えることができるのは、どこでしょう? 明治時代に、外国人たちによって避暑地として見出された軽井沢、奥日光を抑えての涼しい街のトップは、なんと千葉県勝浦市です。
大正時代に別荘地として注目された、夏に涼しい勝浦市
明治時代にうだる日本の夏、さらには遠く香港、上海などの夏を避けるために、外国人たちが見出した東京近郊の避暑地が、軽井沢と奥日光(中禅寺湖畔)。
長野県軽井沢町の標高は標高900m~1000m、中禅寺湖の標高が1269mで、海抜0mに比べて6度以上も低いことに。
さらに軽井沢では霧、中禅寺湖は湖水の温度が反映して、夏の涼しさを生み出しているのです。
ところが、平地にありながら、そんな軽井沢、奥日光にも勝る「穴場の避暑地」、「知る人ぞ知るクールゾーン」になっているのが、千葉県勝浦市。
実際にどのくらい涼しいのかを、2022年、梅雨明け直後のうだるような暑さ続きの日の最高気温で比較してみました。
2022年6月30日、関東地方で最も暑かった熊谷市が39.5度、前橋市38.9度、東京36.4度。
海沿いで少し気温が下がる千葉市で36.4度、館山33.2度、銚子32.0度のときに、なんと勝浦市では26.3度。
避暑地軽井沢は30.7度、奥日光は27.3度なので、軽井沢、奥日光にも勝り、熊谷市よりも13.2度も低い最高気温だったことがわかります。
続く、7月1日、熊谷市は40.0度と40度超え、前橋市38.9度、東京37.0度、海際の千葉市で34.6度、館山31.7度、銚子31.6度のときに、勝浦では27.7度。
この日は軽井沢でも33度という気温だったので、かなり暑さが厳しい日でしたが、それでも勝浦市は奥日光(26.9度)並みの気温27.7度をキープしています。
「よほどでないとクーラーをつけることがない」、「窓を開けておけば涼しい」、「夜寝る時、掛布団に毛布が必要」と勝浦市民が豪語するのは、本当だということに。
では、どうして勝浦市がそんなに涼しいのでしょう。
実は、日本一涼しいエリア(【知られざるニッポン】vol.69 日本一暑い街は熊谷、では平地で日本一涼しいのはどこ!?)で紹介した、北海道の釧路・根室エリアと同じで、勝浦沖には千島列島からの冷たい寒流(親潮)が流れ込み、タカアシガニも生息する深海があるのです。
親潮の南限は北緯37度あたりで、本流は宮城県沖で太平洋側にターンします。
これは南から黒潮が北上するからですが、沿岸沿いに南下する支流が外房に到達し、クールな気候を生んでいるのだと推測できます。
勝浦付近の海水温は、沖合よりも陸に近い方が低温。
この理由は、勝浦沖では、深海の冷たい水が海面へと上昇、表面の暖かい海水は下へもぐり込むという循環で説明されています。
水温は夏季でも7度~8度という冷たい海水なので、黒潮と混ざって海水温が上昇したとしても(夏場の勝浦沖の海水温は22度〜23度で、陸地近くはさらに低温)、その冷気を風が運べば、まさに天然のクーラーということに。
大正時代に、このちに別荘地「鵜原理想郷」が生まれたのも、実は、夏が涼しかったから。
この記事を読んで勝浦に宿をとるなら、ぜひ、海岸に近く、風が入り込みやすい高台の宿の予約を。
【知られざるニッポン】関東で日本一涼しい街はどこ!? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag