愛知県豊田市平戸橋町(豊田市民芸館)、明治時代に名古屋で開催された博覧会の貴賓館として建造された洋館と伝わるのが、旧井上家住宅西洋館。井上家(井上徳三郎)は名古屋の両替商で、蓄えた財で西加茂郡猿投村(現・豊田市井上町)に農場を開き、関戸銀行として使われていた西洋館も猿投村に移築したと伝わります。国の登録有形文化財。
「徳は事業の基なり」が心情だった井上徳三郎の邸宅跡
井上徳三郎は、明治26年創業の関戸銀行に入社。
明治30年には退社し、両替商など事業を広げ、日露戦争後の好景気の波に乗って財を築き、明治44年に猿投村の山林 130町歩(130ha)を購入。
明治45年には井上農場を設立して、山林を農地へとする開墾を始めます。
「徳は事業の基なり」の信条で、土地を寄付して猿投農学校(猿投農林高校)を誘致。
現在の猿投駅(大正13年10月31日開業)の土地も大正13年、井上徳三郎が三河鉄道に寄付した土地です(「鉄道の開通により、駅頭の乗客や荷物のいきかいが日一日と賑やかになり、人家が増え、地方産物の一大市場ができることは想像に難くない。駅の開業は、交通の利便と農村振興の一助となることを信じて疑わん」猿投駅開業時の井上徳三郎祝辞)。
旧井上家住宅西洋館は、井上徳三郎が、井上農場の迎賓館・住居として移築したもの。
木造2階建て、寄棟造り桟瓦葺き(さんかわらぶき)、外装下見板張のべランダ付洋館で、棟札には昭和3年8月20日上棟とあり、移築年月日は定かです。
昭和62年に老朽化による取り壊しとなる予定でしたが、貴重な明治建築として保存されることが決まり、平成元年、豊田市民芸館の敷地に銀行時代の姿に復原して保存されています。
玄関上のカブの形をした窓枠は、株が上がるをかけ、縁起をかついだ装飾です。
旧井上家住宅西洋館 | |
名称 | 旧井上家住宅西洋館/きゅういのうえけじゅうたくせいようかん |
所在地 | 愛知県豊田市平戸橋町波岩86-100 |
関連HP | 豊田市民芸館公式ホームページ |
電車・バスで | 名鉄三河線平戸橋駅から徒歩15分 |
ドライブで | 東海環状自動車道豊田勘八ICから約3km |
駐車場 | 前田公園駐車場(100台/無料)を利用 |
問い合わせ | 豊田市民芸館 TEL:0565-45-4039/FAX:0565-46-2588 |
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