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那古寺(那古観音)

千葉県館山市の那古にある奈良時代創建という古刹。『那古寺縁起』によれば、717(養老元)年に行基(ぎょうき)が創建したと伝えられる真言宗智山派の寺です。かつては源頼朝、足利氏、里見氏らの信仰を集め、源頼朝が本尊の千手観音に帰依して七堂伽藍を建立。江戸時代には、鶴岡八幡宮の別当を兼ねて隆盛しました。

寺伝では奈良時代に行基創建という古刹

那古寺(那古観音)境内図
閼伽井
観音堂

正式名は補陀洛山(ふだらくさん)千手院那古寺ですが、那古観音と通称されています。
補陀落とは、南方の海上にあるとされる観音菩薩の住処。

寺伝によれば行基は、元正天皇の病気平癒を祈るため那古を訪れ、海中より上げた異木(いぼく)で彫った千手観世音菩薩を安置して祈願。
無事、元正天皇の病は平癒し、天皇の勅によりこの那古寺が創建されたのだという。

1703(元禄16)年の元禄の大地震で倒壊し、大正12年の関東大震災でも被災しましたが、その都度再建され、平成22年には観音堂(本堂)の平成の大改修も完了し、美しい境内が蘇っています。

那古寺裏参道には閼伽井弁天(あかいべんてん)が祀られています。
1703(元禄16)年の地震で倒壊した寺を再建する際に、「伊勢屋金物店」伊勢屋甚右衛門が伊豆石を運び、井戸に石組したというのが霊水の閼伽井(あかい)。
往時には参詣の人々ののどを潤した井戸です。

坂東三十三観音の結願寺で関東八十八ヶ所第56番霊場

本坊
仁王門
多宝塔
境内には千葉県の有形文化財に指定される観音堂、多宝塔のほか、仁王門や和泉式部の供養塔などがあり、本尊の木造千手観音立像は、高さ1.5mのクスの木の一本造りで国の重要文化財にも指定されています。
ほかに、鎌倉末期作の銅造千手観音立像(国重要文化財)や繍字法華経普門品など多数の宝物を収蔵しています。

本堂の裏手から那古山山頂の潮音台まで続く遊歩道もあり、春は桜見物を兼ねた参拝客でにぎわいを見せます。
かつては山上の古屋敷に建っていましたが、1703(元禄16)年の大地震で倒壊し、1759(宝暦9)年、岡本兵衛を奉行として、中腹に再建されたもの。
江戸時代には観音堂のすぐ足もとまで波が寄せていましたが、地震の隆起で海岸が後退したのだとか。

また坂東三十三観音の結願所(けちがんしょ)、安房国札三十四観音霊場の1番、関東八十八箇所の56番にもなっています。

坂東三十三ヶ所
鎌倉から始まる長大な巡礼道「坂東三十三ヶ所観音霊場」は、鎌倉時代に、西国霊場を模してつくられた札所。
第一番は鎌倉の杉本寺で1都6県の広範囲にまたがり那古寺(那古観音)で結願するまで全行程は1300kmにも及びます。

那古寺(那古観音)
名称 那古寺(那古観音)/なごじ(なごかんのん)
所在地 千葉県館山市那古1125
関連HP 館山市公式ホームページ
電車・バスで JR那古船形駅から徒歩7分。または、JR館山駅から館山日東バス南無谷行き、東京湾フェリー行き10分、那古下車、すぐ
ドライブで 富津館山道路富浦ICから約3km
駐車場 30台/無料
問い合わせ 那古寺(那古観音) TEL:0470-27-2444
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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