日本は世界一の豪雪国ですが、観測史上1位の記録は、滋賀県と岐阜県の県境に位置する伊吹山の山頂、伊吹山測候所(当時)が1927年2月14日に観測した1182cmです。測候所は廃止され、現在では観測施設もないため、永久不滅の世界記録に。2位はニュースでおなじみの青森県酸ヶ湯(すかゆ)で566cmとなっています。
日本海を流れる暖流が世界一の豪雪をもたらす
豪雪の条件は、対馬海流(暖流)の流れる日本海から湿った空気が供給され、それが上空の冷気や、山に衝突した際の上昇気流で冷却されて雪雲(積乱雲)となって、ドカ雪がもたらされるもの。
永久不滅とされる伊吹山の1182cmも、若狭湾(日本海)で発生した雪雲が太平洋側に抜ける際に伊吹山でぶつかる形で大雪をもたらしたもので、1927年には10m以上の積雪が2ヶ月も続いています。
伊吹山山麓の関ヶ原は、東海道新幹線や名神高速道路が積雪の影響を受けることも多い場所ですが、若狭湾からの季節風の通り道にあるためです。
伊吹山の記録は伊吹山頂に測候所があった戦前のことで、超音波などを用いた自動計測機器がなかった時代。
観測所の職員が観測地点に高さ3mほどの雪尺を刺し、不足分は継ぎ足して雪の深さを測っています。
2位の酸ヶ湯(すかゆ/気象庁の観測地点名は酸ケ湯)などは有線ロボット気象計の測定で有線ロボット積雪深計が雪の深さを自動的に計測しています。
テレビの豪雪を知らせるニュースなどで引っ張りだこの酸ヶ湯温泉ですが、津軽海峡に暖流の対馬海流の分流が流れ込むことで湿気が供給されることが豪雪を生む理由です。
3位は新潟県魚沼市の守門で、豪雪で知られる魚沼地方ですが、日本海側からの湿気を含んだ空気が谷川岳などの脊梁山脈にあたり、ドカ雪をもたらすもの。
いわゆる「山雪型」で、海水の温度と上空の寒気の気温差が大きい時に新潟平野に降る「里雪型」とはメカニズムが異なります。
酸ヶ湯の積雪量を見て、「青森は雪が多い」と誤解する人がいると青森県民のなかには苦々しく思う人もいるそうですが、酸ヶ湯で積雪などの観測を始めたのは1979年のこと。
道路の除雪対策や、山間部の降雪状況を把握するためにあえて酸ヶ湯に設置したとのことで、設置場所によっては、当然、さらに豪雪の場所があるということに。
歴代最深積雪ランキング TOP20
順位 | 観測地点名 | 積雪量 (cm) | 所在地 | 観測年月日 | 観測実施の 有無 |
1位 | 伊吹山測候所 | 1182 | 滋賀県米原市 伊吹山山頂 | 1927年2月14日 | ✗ 2001年廃止 |
2位 | 酸ヶ湯 | 566 | 青森県青森市荒川 | 2013年2月26日 | ◯ |
3位 | 守門 | 463 | 新潟県魚沼市西名 | 1981年2月9日 | ◯ |
4位 | 肘折 | 445 | 山形県大蔵村南山 | 2018年2月13日 | ◯ |
5位 | 津南 | 419 | 新潟県津南町中深見乙 | 2022年2月24日 | ◯ |
6位 | 十日町 | 391 | 新潟県十日町市松代 | 1981年2月28日 | ◯ |
7位 | 高田測候所 | 377 | 新潟県上越市大手町 高田特別地域気象観測所 | 1945年2月26日 | ◯ 現在は観測所 |
8位 | 小出 | 363 | 新潟県魚沼市佐梨 | 1981年2月28日 | ◯ |
9位 | 関山 | 362 | 新潟県妙高市関山 | 1984年3月1日 | ◯ |
10位 | 湯沢 | 358 | 新潟県湯沢町湯沢 | 2006年1月28日 | ◯ |
11位 | 野沢温泉 | 353 | 長野県野沢温泉村豊郷 | 1984年3月22日 | ◯ |
12位 | 安塚 | 350 | 新潟県上越市安塚区 | 1984年3月8日 | ◯ |
13位 | 大井沢 | 348 | 山形県西川町大井沢 | 2000年3月1日 | ◯ |
14位 | 只見 | 341 | 福島県只見町只見 | 2013年2月25日 | ◯ |
15位 | 桧枝岐 | 339 | 福島県檜枝岐村上河原 | 2015年2月15日 | ◯ |
16位 | 富士山測候所 | 338 | 静岡県富士宮市 富士山山頂 | 1989年4月27日 | ✗ 2004年廃止 |
17位 | 幌加内 | 324 | 北海道幌加内町幌加内 | 2018年2月25日 | ◯ |
18位 | 倶知安測候所 | 312 | 北海道倶知安町南1条東 倶知安特別地域気象観測所 | 1970年3月25日 | ◯ 現在は観測所 |
19位 | 朱鞠内 | 311 | 北海道幌加内町朱鞠内 | 1982年3月10日 | ◯ |
20位 | 能生 | 309 | 新潟県糸魚川市平 | 1985年1月30日 | ◯ |
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