フェリー、高速船、観光船、水上バスなどの入出港時刻。ちゃんと時刻表示がありますが、実はその種類の多さ、航海距離や歴史的な背景もあって、「タラップを外した時」「岸壁を離れた時」などという決まりはないようです。「黒船就航」で今話題の東京湾フェリーなどにも取材してみました。
出港とは舫い綱(もやいづな)を外して離岸すること
出港時刻、航海時間などの海技諸事項に関して、法令で定めるような決まりはなく、一般的には係船している最後の舫い綱(もやいづな)を係留柱から外したタイミングを出港時刻とするという運航会社が大部分です。
大型の客船やコンテナ船などでは、入出港は水先案内人(パイロット)が行なうため、出港はすべての係船索(船舶を係留するために使う綱)を取って固縛が完了した時、逆に着岸は、 最初の係船索が陸上に渡った時としています。
では通常のフェリーや旅客船はどうでしょう?
「しらはま丸」の黒船ラッピングで、「令和の黒船が浦賀沖に到来」と話題の東京湾フェリー・常務取締役の寺元敏光さんによれば、
「何をもって出港とするのかは、各社違うようですが、当社は舫い綱を外し、ランプ(車が乗り降りする出入口)を上げたタイミングを出港としています。逆に入港は舫い綱を結び、ランプを下げた瞬間ということに」と解説します。
東京湾フェリーの場合は、東京湾横断(久里浜港〜金谷港)でしかも航海時間が40分ほどということもあって、徒歩乗船の場合は乗船名簿への記入が不要。
つまり、路線バス(京急バス)が渋滞などで遅れても、駆け足で乗船ができることもあって、時刻表上の出港時刻=実際に乗船ができるリミットということになります。
隅田川下りの東京都観光汽船(水上バス)なども同様で、東京都観光汽船も当日の出航時間5分前まで予約可能となっているので、「船が港を出港する時間(=この時間までに乗船していればよい時間)」と捉えることができます。
ただし、「出航の20分前までには港窓口にお越しいただき乗船手続きを行ってください」(瀬戸内海汽船)、「お車でご乗船される方は、苫小牧港発は120分前、仙台港発、名古屋港発は90分前、お車のない方は60分前までにお済ませください」(太平洋フェリー)と各社まちまちで、記載される出港時刻ギリギリにターミナルに行っても乗船できないケースも出てくるわけです。
海事法令的には「『出港しようとするとき』とは、港内に停泊していた船舶が、当該港の外に航海する目的で運航を開始しようとするときをいう」ということなので、「運航を開始しようとするタイミング」が船の大きさなど運航の特性によって各社バラバラというわけです。
船の出港・入港の時刻、正確にはどの瞬間!? | |
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