サイトアイコン ニッポン旅マガジン

富士登山、「マナーの悪い登山者」は山梨側に多い!?

山梨県と静岡県は、富士山の山小屋管理者に対し、昨年の閉山シーズンに『令和6年度山小屋アンケート』を実施、その結果を発表しています。「今夏の登山者の行動マナーは、許容できるか?」の問に対して、山梨県側・吉田口の山小屋管理者は、やや許容できない36%、許容できない9%と、静岡県側に比べると「許容できない登山者」が多くなっています。

富士山の山小屋管理者38名にアンケート

アンケートは、富士山登山道の山小屋管理者に対して、令和6年9月~11月(閉山期)に実施。
4ヶ所ある登山ルートの山小屋は41軒を数えますが、3ヶ所の山小屋の管理者は重複するため、アンケート対象は38名に。
内訳は、山梨県側の吉田口16軒(回答回収率10軒/63%)、静岡県側(回答回収率は100%)の富士宮口8軒、御殿場口5軒(管理者2者重複のため対象数3軒)、須走口12軒(管理者1者重複のため対象数11軒)となっています。

「今夏の登山客の行動マナーについて、特にコロナ前に比べ改善されたと感じる内容はあるか」という質問に対して、山梨県側は吉田口は「ない」が8、「ある」3の2倍以上で、改善は見られないという回答が大半でしたが、静岡県側は、「ある」6、「ない」7でほぼ拮抗。
しかも静岡県側の富士宮口だけを例に取ると、「ある」5、「ない」2で、吉田口では改善点が「ない」と回答する山小屋数の割合が約7割と他の登山道に比べて高い一方で、富士宮口は「あり」が約7割という極端な差が生じています。
「今夏の登山者の行動マナーは、許容できるか?」でも吉田口は「やや許容できない」36%、「許容できない」9%で、富士宮口の「やや許容できない」・「許容できない」0%と大きな対比が生まれています。

吉田口の山小屋管理者がマナーに厳しく、富士宮口が緩やかという可能性も捨てきれませんが、むしろ「登山者の層が違う」と考えるのが一般的。

アンケートからは、おもに「外国人登山者のマナー違反」に悩む山小屋管理者が多く、内容としては、「ゴミ捨て」、「野宿」、「登山ルール違反」、「軽装」など、テレビなどでの報道と同じです。

吉田口と富士宮口の違いは、吉田口のほうが「東京から近くて便利というイメージ」(新宿から高速バスが直通)、そして「登山道が富士宮口ほど急登でない」ことから、外国人、そして日本人でも登山未経験者、初心者のピークハンターが多いという特徴があります(単に外国人登山者の割合でいえば、実は富士宮口の方が多く、富士宮口では2割以上が外国人)。

吉田口の山小屋関係者に話を聞くと、「日本人では若者、そして在留外国人、訪日旅行者が弾丸登山、軽装登山など、マナー違反が多い」と指摘。
女性の割合が高く(4割が女性、富士宮口は女性は4分の1ほど)、単独による登山客が少ないのも吉田口の特徴です。
女性、グループ、若者、外国人が手軽な感じでチャレンジしているのが、吉田口で、近年ではSNSの情報で、「意外に手軽にチャレンジできる」、「自分でも山頂に立てる」と判断する人が増えているともいわれています(かつては富士登山の前に、春から初夏に低山を歩くなど足慣らしを兼ねてトレーニングをする人も多くいました)。

静岡県側の方が遠方からの登山者が多いだけに、「装備や下準備がしっかりしている」、「夜行日帰りの弾丸登山が少ない」(山小屋関係者の話)傾向にもあるようで、こうしたことがアンケート結果の「マナーの悪い登山者」は山梨側に多い傾向につながっているのかもしれません。

ただし富士宮口でも「軽装で夜登り、山小屋の横で5度以下の低温に震える登山者を見かける」とのことで、「富士宮口ガイド組合」のガイドも「なかには怒りを通りすぎて呆れ果てるような人もいる」と事故発生を危惧しています。
軽装の弾丸登山者は、疲れなどから落石を発生させる危険もあり、他人までをも事故に巻き込む可能性を秘めています。

富士登山を予定する場合は、まずは山小屋を予約し、しっかりとした装備、事前のトレーニング、そして体調管理が必要です。

富士登山、「マナーの悪い登山者」は山梨側に多い!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了