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国土地理院が「水準測量」を「衛星測位」に変更! 標高が1m低くなる山が続出!

日本各地の山岳標高は、明治以来、東京湾平均海面を標高0m基準とし、国会議事堂近くの日本水準原点(東京都千代田区)を原点に、水準測量で定められてきました。衛星測位を用いることで正確で、しかも測量日とのズレのない数値を得ることができますが、その結果、標高が1m低くなる山が続出することに。

基準点の測量成果を2025年4月1日(火)に公表

画像/全国の標高成果の改定・資料による(国土地理院)

新田次郎の小説『劒岳 点の記』は、明治時代末期、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が北アルプス・立山連峰で行なった測量をモチーフにした小説で、浅野忠信、香川照之主演で映画化(2009年6月20日公開)され、水準測量の苦労が伝わってきました。

点の記(てんのき)とは、基準点(三角点・水準点・基準多角点など)の設置・測量の記録のことで、劔岳のような険しい山岳や、道なき頂でも測量を行なう必要があるため、まさに難行苦行の探検が必要となったのです。

東京都千代田区にある日本水準原点を基本に、測量を開始したとしても、水準測量は、作業員4名で1日4kmほどしか観測できません。
全国の観測には10年以上要することから、地図に反映された際には10年前のデータということも。

一例をあげると、宮城県の牡鹿半島では2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の余効変動で、2011年〜2024年にかけて数十cm隆起しているので、観測に時間を要する水準測量では「過去の測量値」ということになってしまいます。

さらに水準測量は、測定する距離が長くなるにつれ(日本水準原点から離れるにつれ)、 計測誤差が累積し、精度が低下する傾向に。

こうした問題点を解決するための国土地理院では、衛星測位を導入。
2025年4月の地図データから、この衛星測位のデーターに切り替えると発表したのです。

衛星測位では、地殻変動などによる沈降、隆起の最新データーを反映できること、さらには日本水準原点から距離が離れるに従って累積していた標高の誤差が解消できるといメリットがあります。

実際に、これまでの水準測量と比較すると、富士山の標高は5cm高くなり、誤差がもっとも大きい北海道・知床半島(マイナス67cm)では、羅臼岳の標高が1m低くなるという結果が生まれています。
標高は四捨五入されるので、1m低くなるピークが続出(ただし改定量は、実際の地面の隆起・沈降を示しているものではなく、水準測量との誤差も含まれています)。

山頂には、現在の標高を記した表示が立っているでしょうし、パンフレットやホームページでもこれまでの水準測量による標高が記されているので、4月以降、「正しい標高」を記載する作業が全国で必要となるのです。

なお、国土地理院では、基準点の測量成果を2025年4月1日(火)に公表。
2万5000分の1地形図は、2025年5月刊行分から反映させ、基盤地図情報は2025年7月末に提供予定としています。

画像/全国の標高成果の改定・資料による(国土地理院)
国土地理院が「水準測量」を「衛星測位」に変更! 標高が1m低くなる山が続出!
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

日本水準原点

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