毎年5月3日〜5月4日、福岡県福岡市で『博多松囃子』(はかたまつばやし)が行なわれます。新しい年に祝福をもたらす歳神を迎える正月の年賀行事が博多の人々によって風流な民俗文化となり定着したもので、同じ日に行なわれる『博多どんたく』の起源となったもの(明治12年に「松囃子」から「どんたく」と名を変えて実施)。
博多どんたくのルーツで、中核となる
「はやす」は、分割する、切ることを意味する祝い言葉で、「殖(ふ)やす」に通じ、その年の繁栄を祈って山から神の依代(よりしろ)である松を伐(き)って家に迎え入れるのを「松囃子」という名が生まれたのです。
治承3年(1179年)に病没した平重盛を追善供養のために始まったともいわれていますが、定かではありません。
室町時代に京などで正月・松の内に盛んに行なわれた行事が、全国に広まったと推測されています。
博多の豪商・神屋宗湛(かみやそうたん)の『宗湛日記』(そうたんにっき)に、文禄4年10月29日(1595年11月30日)、小早川隆景(こばやかわたかかげ)が隠居のために改修した名島城(なじまじょう=現・福岡市東区名島にあった城)で「正月ノ如ク仕立テ」た松ばやしの訪問を受けたと記されており、これが記録に残る福岡最古の松囃子となっています。
その後、正月15日に行なわれる年賀行事として隆盛を極めた『博多松囃子』は、華美に流れ、金銭を浪費し、文明開化にそぐわないことから、明治5年廃止令が出されました。
しかし、明治12年に『博多どんたく』として復興。
『博多松囃子』は、どんたくパレードの幕開けを飾り、町中を祝って回わる行事として存続しているのです。
『博多どんたく』に比べて、知名度は低いのですが、『博多松囃子』は、その起源で、中核でもあるのです。
『博多松囃子』は福神流、恵比須流、大黒流の三福神と稚児流の4つの流(ながれ=地区グループ)で構成されています。
『博多どんたく』期間中に、福岡県庁舎や福岡市庁舎、警察署、県知事公舎、官公庁、ホテル、寺社などを回るもの。
福禄寿(福神流)、夫婦恵比寿(恵比須流)、大黒天(大黒流)の三福神はそれぞれ面や衣装を着けた姿で馬に乗り、随伴の子供たちが「言い立て」(祝言)を歌います。
祝われた側は、その返礼に杉原紙の1束(10帖)と扇1本を組み合わせた「一束一本」を三方に乗せて贈るとともに、ご祝儀や酒、紅白の蒲鉾、乾物などでもてなします。
博多松囃子|福岡市 | |
開催日時 | 毎年5月3日〜5月4日 |
所在地 | 福岡県福岡市 |
関連HP | 博多どんたく公式ホームページ |
問い合わせ | 福岡観光コンベンションビューロー TEL:092-733-5050 |
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