箱根火山が小規模な水蒸気爆発(大涌谷)したのが2015年で、2025年で10年がたちます。実は9万年前、6万5000年前には大噴火が起こり、火砕流はわずか1〜2時間で横浜市西部や三浦半島まで到達、一帯が焼け野原のなっています。可能性が高いのは600年に一度といわれる水蒸気爆発で、監視体制が整備されています。
わずか3000年前の爆発で、芦ノ湖、大涌谷が誕生
50万年前頃から活動が始まった箱根火山ですが、一般に火山の寿命は数十万年といわれるので、老齢の火山といえるでしょう。
富士山や伊豆大島・三原山が数万年という若々しい火山ということに比べれば、若くはありませんが、箱根火山は現在も生きている火山で、噴火の可能性は残されています。
マグマ噴火としては、8000年前の神山山頂付近の噴火、5700年前の二子山溶岩ドームの噴火があります。
3000年前には神山北西斜面で水蒸気爆発が起こり、神山の北側が山体崩壊し、大量の土砂が神山岩屑なだれとなって仙石原に流れ込んだほか、溶岩ドームの冠ヶ岳が形成されています。
このときの噴火活動の名残が現在の大涌谷であり、崩れた土砂は芦ノ湖や仙石原を形成しています。
つまり、現在の芦ノ湖や大涌谷の景観は、3000年前の火山活動で形成されたということになります。
数十万年という人間の人生の1万倍(人間は数十年)もの長い命がある「火山体」にとって3000年は、人間の0.3年程度にしかなりません。
現在が50歳の冬なら、昨年の秋に爆発したという感じなのです。
2015年の水蒸気爆発は、事前に「火口周辺警報」を発表
2015年の箱根山噴火は、マグマの熱によって地下水が高温の水蒸気になり、その圧力で地表が破壊されて起こる水蒸気爆発で、同じ水蒸気爆発の御嶽山噴火(2014年)の100分の1以下という小規模な噴火でした。
そんな小規模な水蒸気爆発でも、箱根火山(大涌谷)では2ヶ以上前から異常が感知され、気象庁は火口周辺警報を発表。
噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げるなど、防災対応がとられるなどして人的な被害はありませんでした。
3000年前の冠ヶ岳の誕生以降、大涌谷の周辺で5回ほどの水蒸気爆発が起こったと推測されていますが、記録には残されていません。
2015年の小規模爆発は、世界的にも初となる、噴火の前後の正確な経過が記録されたこともあり、水蒸気爆発に関する火山研究に大きなデータが提供されたのです。
現在、箱根火山は、火山ガスの連続モニタリングなどの観測体制も強化。
人的被害を生み出した2014年の御嶽山噴火のように、本来は予測しがたい水蒸気爆発も、箱根山では2015年以上に事前の予測が可能ではないかと期待されています。
2025年1月25日現在の箱根火山は噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)なので、春節にも多くの訪日外国人が箱根を訪れることが予想されています。
横浜や富士宮あたりまで火砕流が到達し、東京に10cmもの軽石が積もるという最大の被害をもたらす大噴火は、過去30万年間に4回あったとされ、今後100年間に大噴火が起きる確率は、限りなく0に近いのですが、こちらも0ではありません。
火山列島に暮らす日本人なので、火山の危険とは隣り合わせですが、それゆえに多くの訪日観光客を呼び寄せる箱根や富士山の絶景、豊かな温泉が享受できるといえるのです。
箱根山が大爆発したら横浜は焼け野原!? 可能性が高いのは水蒸気爆発 | |
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