過去には横浜まで火砕流が到達し、相模平野を焼け野原にしたこともあるという箱根火山の大噴火。静岡大学防災総合センター(『火山噴火予知連絡会会報』第121 号)によれば、平常時の場合は4万年に一度という大噴火の確率は0.002%、水蒸気噴火も0.2%とのことで、数字的にはひと安心です。
首都圏の近くに大噴火の可能性のある火山が!
箱根はフィリピン海プレートが陸側に沈み込んだ場所に位置し、沈み込んだプレートから供給されるマグマが箱根の火山活動の原動力となっています(富士山と同様に地下にはマグマ溜まりがあります)。
多くの専門家は、「箱根は富士山同様に噴火の可能性がある危ない火山」と指摘しています。
気象庁は、現在の箱根火山(活火山)の活動に関して、「火山活動は静穏であるが、大涌谷等で噴気活動がみられる」とし、噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)としています。
それでも2015年にはごく小規模水蒸気噴火が発生し、一時的に噴火警戒レベル3(入山規制)にまで引き上げられたことがありましたが、その後は沈静化しています(小規模な噴火ですが最後の水蒸気噴火は12世紀後半〜13世紀なので、900年ぶりの水蒸気噴火といえます)。
直近では2019年に火山性地震と山体浅部と深部それぞれの膨張を示すと考えられる地殻変動を観測したこともあり、活火山であることがよくわかります。
3000年前の神山の北西斜面で水蒸気爆発は、神山の山体崩壊を起こし、大量の土砂が神山岩屑なだれとなって仙石原に流れ込み、芦ノ湖を生んでいます。
崩壊跡に地下からマグマが上昇し、溶岩ドームが誕生。
この溶岩ドームが大涌谷にそびえる冠ヶ岳です。
そんな箱根火山ですが6万6000年前の大噴火では、火砕流が60kmも離れた横浜市南西部まで達し、相模を焼け野原にしています。
火砕流の温度は500~700度、速度は時速30km~200kmにも及びます。
東京の地下にある「東京軽石層」はこの時に積もった軽石の層なのです。
静岡大学防災総合センター(『火山噴火予知連絡会会報』第121 号)によれば、ポンペイを火砕流が襲ったヴェスヴィオ火山の大噴火のようなプリニー式噴火が起きる確率は平常時を起点とすると0.002%ほどとのこと。
静岡大学防災総合センター(小山真人・村越真両氏)の研究によれば溶岩ドームの形成が過去4万年間に12回ほど確認されていることから、同様の噴火の発生頻度を3000年に一度程度としていると解説しています。
さほど心配には及ばない確率かもしれませんが、首都圏の近くにも大噴火の可能性のある火山があることを知っておくことは重要です。
時間軸 | 群発地震発生 | 噴火の有無 | 噴火の程度 |
活動開始 | 【10%】20年に一度くらい 噴気以上と地殻変動を伴う 群発地震 | 【4%】500年に一度 噴火が発生 | 【1%】4万年に一度 プリニー式噴火 |
【16%】3000年に一度 溶岩ドーム形成 | |||
【83%】600年に一度 水蒸気噴火 | |||
【96%】 →収束 | |||
【70%】3年に一度くらい 地殻変動を伴う群発地震 | →この場合は収束 | ||
【20%】10年に一度くらい その他の群発地震 |
横浜まで焼け野原 箱根火山の噴火の確率は!? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag