兵庫県淡路市岩屋、岩屋港のすぐ側にある絵島は、国生み神話に登場する「おのころ島」ともいわれる伝説の島。約2000万年前の神戸層群岩屋層の砂岩や礫岩からできている小島で、古くから景勝地として知られ、多くの和歌にも詠まれています。日本遺産「国生みの島・淡路」の構成資産にもなっています。
平清盛も愛したという月見の名所
『古事記』に登場する国生み神話で、伊弉那岐神(イザナギ)と伊弉那美神(イザナミ)が海をかき回し、矛先の雫で最初に誕生した淤能碁呂(おのころ)島と記されていますが、その「おのころ島」が沼島(ぬしま/兵庫県南あわじ市、紀伊水道に浮かぶ有人島)とも、この絵島ともいわれているのです。
周囲400mの島を一巡する遊歩道を歩き風化したオブジェのような島を眺めると、まさに「神の垂らした最初の一滴」にはピッタリという趣を感じることができます。
平安時代中期、清少納言の随筆『枕草子』にも「島は、八十島(やそしま)、浮島(うきしま)。たはれ島。絵島、松が浦島。豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島」と記され、平安時代後期の歌人・西行法師も「千鳥なく 絵島の浦に すむ月を 波に移して 見るこよひかな」(『山家集』)と詠んでいるので、平安時代からいかに有名な景勝地だったかがよくわかります。
鎌倉時代の軍記物『平家物語』にも、平清盛(たいらのきよもり)が福原(現在の神戸市兵庫区平野)に都を遷した際に、貴人たちが、舟を出して、絵島を愛でながら歌会を催したと記されています。
小さな島ですが、絵島の頂には、平清盛が日宋貿易のための国際貿易港として大輪田泊(おおわだのとまり=後の兵庫津)を築港する際、人柱となった松王丸 (平清盛の小姓)の供養塔といわれる宝篋印塔が立っています。
平清盛は、絵島の美しさについて松王丸とよく語り合い、思い出を込めて祀ったとも伝えられているのです。
幕末の嘉永4年(1851年)に編纂された『淡路国名所図会』の岩屋浦繪島の項を見ると、エシマ(絵島)は陸続きに描かれており、往時は砂浜で繋がっていたのが波などで切り離され、島になったと推測できます。
現在では明石港と結ぶ高速双胴船(淡路ジェノバライン)が出航する岩屋港(昭和10年完成)の防波堤の内側にあり、橋で陸と結ばれています。
絵島の南には、大和島と呼ばれる陸続きの小島があり山上のイブキ群落は兵庫県の天然記念物に指定。
毎年、仲秋の名月には絵島の景勝と歌を楽しむ観月会『絵島の月を愛でる会』も開催。
絵島 | |
名称 | 絵島/えしま |
場所 | 兵庫県淡路市岩屋 |
関連HP | 淡路島観光協会公式ホームページ |
ドライブで | 神戸淡路鳴門自動車道淡路ICから約1.5km |
駐車場 | 岩屋ポートビル駐車場(1時間まで無料、以降有料)を利用 |
問い合わせ | 淡路島観光協会 岩屋観光案内所 TEL:0799-72-3420/FAX:0799-72-3421 |
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