兵庫県赤穂市御崎、赤穂御崎の西、広大な塩田跡を再生した兵庫県立赤穂海浜公園の一画に建つのが、赤穂市立海洋科学館・塩の国。「瀬戸内海と塩」をメインテーマにした展示施設の赤穂市立海洋科学館、昔ながらの入浜式塩田で塩づくり体験が可能な塩の国に分かれています。
入浜式塩田の聖地で、その仕組みを学ぶ
江戸時代、潮の満ち引きを利用し、海水を自動的に浜に引き入れる入浜塩田(対して汲み揚げた海水を砂浜の「塩田」に撒くのが揚浜塩田)による塩づくりが確立された播州赤穂。
千種川が運んだ中国山地の花崗岩起源の砂が、沿岸に堆積し、その砂地と晴れの日が多い瀬戸内海式気候を利用して産したのが赤穂の塩。
海水中の塩分濃度はわずかに3%なので、多量の薪を燃やし1リットルの海水を煮詰めても、塩はわずかに30グラムしか得ることができない貴重なものだったのです。
煮詰める海水の濃度をいかに高めるか、赤穂の技術革新がトップブランドをもたらしたのです。
浅野赤穂藩の初代藩主・浅野長直(あさのながなお=浅野長政の孫)が正保2年(1645年)、常陸国笠間藩から赤穂藩に入封すると、姫路から浜人・浜子を入植させて大規模な入浜塩田の開拓に着手。
浅野長直、浅野長友(あさのながとも)、浅野長矩(あさのながのり=江戸城松の廊下で吉良上野介を切りつけた浅野内匠頭・あさのたくみのかみ)の浅野家3代で100haの塩田を開拓し、日本全国の塩の7%のシェアを確保するに至りました。
赤穂市立海洋科学館は、歴史ある赤穂の塩を「塩のギャラリー」、「赤穂を知ろう」、「海へのいざない」、「海を知ろう」の4つのゾーンに分けて解説。
赤穂の自然、地質、地形、気象などを詳しく分析し、入浜塩田式の製塩が誕生し、瀬戸内海一円に広がっていったその合理性を紹介しています。
塩の国の「塩づくり体験」は、流下式塩田で採取した、塩分濃度の濃い海水(鹹水・かんすい)を煮つめて塩をつくる体験で、所要は30分ほど(火を使います)。
「塩田作業体験」は、砂の上から海水をかける「潮かけ」、万鍬(まんぐわ)と呼ばれる道具で表面の砂をかきおこす「ひき浜」などを体験(ただし、校外学習のみ小学3年生以上が対象)。
釜焚き実演は、海水を濃くした鹹水を大きな平釜(3m×2.6m)で焚き上げ、塩をつくる最終工程を見学するもので日時限定で実施。
赤穂市立海洋科学館・塩の国と水の尾は、日本遺産「『日本第一』の塩を産したまち 播州赤穂」の構成資産にもなっています。
赤穂市立海洋科学館・塩の国 | |
名称 | 赤穂市立海洋科学館・塩の国/あこうしかいようかがくかん・しおのくに |
所在地 | 兵庫県赤穂市御崎1891-4 |
関連HP | 赤穂市立海洋科学館・塩の国公式ホームページ |
電車・バスで | JR播州赤穂駅から神姫バス赤穂市民病院経由御崎、またはかんぽの宿赤穂行きで10分、赤穂高校、または明神木下車、徒歩15分 |
ドライブで | 山陽自動車道赤穂ICから約6km |
駐車場 | 兵庫県立赤穂海浜公園西駐車場(369台/有料)を利用 |
問い合わせ | 赤穂市立海洋科学館・塩の国 TEL:0791-43-4192 FAX:0791-45-3502 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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