日本三古湯(にほんさんことう)は、白浜温泉(和歌山県白浜町)、有馬温泉(兵庫県神戸市)、そして道後温泉(愛媛県松山市)の三湯を数えるのが一般的。いずれの温泉地も『日本書紀』など、神代の時代にまで遡ることができる温泉で、共通するのは三湯とも効能豊かなミネラル分に富んだ「非火山性の温泉」であるという点です。
白浜温泉|和歌山県
湯冷めしにくくよく温まる名泉
所在地:和歌山県白浜町
歴史:飛鳥時代、奈良時代から「牟婁温湯」、「紀温湯」の名で知られ、記録でも斉明天皇4年(658年)10月15日〜斉明天皇5年1月3日(659年)、女帝・斉明天皇(いったん退位した皇極天皇が再度、天皇に)が「紀温湯」(白浜温泉)で湯治(『日本書紀』)
泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物強塩泉、ナトリウム-塩化物泉
特長:皮膚に塩分が付着し汗の蒸発を防ぐため、湯冷めしにくく、保湿効果があり、よく温まる
熱源:地下深くに太平洋から潜り込んだプレートからにじみ出た高温の水分
南紀の地下10km〜15kmに、温泉の熱源となるような高温部分が存在
地下30kmよりも深い深層に横たわるプレート(フィリピン海プレート)から絞り出されて上昇してきた高温の水をたっぷり含んだ岩盤で、地表から染み込んだ地下水などが接して、加熱されて湧出
共同湯:崎の湯、牟婁の湯(むろのゆ)、白良湯、松乃湯、綱の湯、露天風呂しらすな
有馬温泉|兵庫県
世界的にも珍しいプレートと断層の関係が妙(たえ)なる温泉を生み出す
所在地:兵庫県神戸市
歴史:舒明天皇3年(631年)9月、舒明天皇(じょめいてんのう)が有馬温泉に行幸し3ヶ月逗留(『日本書紀』による/都があったのは現在の奈良県明日香村の飛鳥岡本宮)
養老8年(724年)、行基が温泉寺を創建(寺伝)
泉質:含鉄・ナトリウム-塩化物強塩高温泉(金泉)、二酸化炭素泉・放射能泉(銀泉)
特長:海水の 2倍の濃度の塩類泉で、高濃度のラドン、二酸化炭素とともに自噴(有馬の湯はもともと金泉で、二次的に銀泉が生み出されています)
熱源:有馬高槻構造線とよばれる大きな断層があり、世界に類を見ない熱いプレート(フィリピン海プレート)の上に断層があるため、高温の温泉が地上に上がってくるというメカニズムです
共同湯:金の湯、銀の湯
道後温泉|愛媛県
高温と低温の源泉をブレンドし、適温にして源泉かけ流しに
所在地:愛媛県松山市
歴史:推古天皇4年(596年)、厩戸皇子(うまやどのおうじ=聖徳太子)が病気療養のため逗留(『伊予国風土記逸文』)
舒明天皇、斉明天皇、天智天皇、天武天皇が行幸(『日本書紀』)。
泉質:単純温泉
特長:pH9というアルカリ性で、肌がツルツルに、軟水で石鹸の泡立ちがいいのも大きな特長で、湯上がりにはベタつきがなく、爽快
熱源:岩石成分の溶けた地下水が、地熱で温められて断層の割れ目から湧き出したもの
共同湯:道後温泉本館、道後温泉別館 飛鳥乃湯、椿の湯
日本三古湯とは!? | |
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