福島県猪苗代町、猪苗代湖畔にある旧有栖川宮・高松宮翁島別邸が天鏡閣(てんきょうかく)。猪苗代湖畔の長浜から坂を上がった高台に建ち、ルネッサン様式を基調とした木造の洋館。明治41年に、有栖川宮威仁親王(ありすがわのみやたけひとしんのう)が別邸として建築したもので、国の重要文化財。
マントルピース、漆喰芸術など見どころ多数
有栖川宮威仁親王は、肺結核を患い、明治42年頃から薨去する大正2年の間は、舞子別邸(現・兵庫県神戸市垂水区、シーサイドホテル舞子ビラ神戸の建つ場所)で静養しているので、翁島別邸を使うことはありませんでした。
没後、高松宮の所有となったため、旧有栖川宮・高松宮翁島別邸ということに。
「天鏡閣」の名は、漢詩を好んだ皇太子嘉仁親王殿下(後の大正天皇)が行啓の際、李白(りはく)の詩句「明湖落天鏡」から命名。
皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)も新婚旅行的な静養に訪れています。
昭和27年12月、高松宮宣仁親王から福島県に下賜され、昭和54年2月、天鏡閣本館、別館、表門が国の重要文化財指定されたことから、復元修復を行ない、公開されたもの。
ルネサンス様式を巧みに取り入れた和洋折衷の建築様式で、八角形の塔や、御座所、居間、寝室、食堂、客間など各部屋ごとに意匠を凝らした優雅な室内装飾、調度品などが見学可能。
当時の流行を反映して配された球戯室(ビリヤード室)、大理石製のマントルピース、素敵なシャンデリアなど、豪華な造り。
有栖川宮ゆかりの品々が館内に展示されています。
賓客食堂をティールームとして営業するほか、天鏡閣ガーデン軽食コーナーもオープン(ともに期間限定)。
猪苗代湖や磐梯山を眺望する絶好のロケーションで、裏山となる「猪苗代湖畔の森」には散策路も整備され、冬季はクロスカントリーのコースとなっています。
会津藩は幕藩体制を維持するために大坂や江戸に大量の米を輸送する必要があり、天鏡閣のある翁沢戸ノ口から猪苗代湖の湖上を舟運により秋山(舟津=現在の湖南港)へと運んでいます。
天鏡閣(旧有栖川宮・高松宮翁島別邸)は、単に風光明媚というだけでなく、湖上交通の要衝にもあたる地に別邸を建てたのだと推測できます。
天鏡閣 | |
名称 | 天鏡閣/てんきょうかく |
所在地 | 福島県耶麻郡猪苗代町翁沢御殿山1048-14 |
関連HP | 天鏡閣公式ホームページ |
電車・バスで | JR猪苗代駅から磐梯東都バス磐梯高原休暇村行きで15分、長浜下車、徒歩5分 |
ドライブで | 磐越自動車道猪苗代磐梯高原ICから約7.5km |
駐車場 | 43台/無料 |
問い合わせ | 天鏡閣 TEL:0242-65-2811/FAX:0242-65-2811 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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