岩手県花巻市、胡四王山(こしおうざん)の中腹、宮沢賢治記念館の入口にある広場。その名は宮沢賢治の童話『ポランの広場』(後に「ポラーノの広場」と改稿)からとられたもの。傾斜地に作庭された「南斜花壇」と日時計が配された「日時計花壇」があり、ともに科学にも造詣の深かった宮沢賢治の設計。
宮沢賢治設計の花壇を観賞
宮沢賢治は、稗貫農学校(羅須地人協会)時代の教え子・冨手一(とみてはじめ=花巻温泉園芸主任)の依頼で花巻温泉に南斜花壇、日時計花壇を築いていますが、維持管理ができずに失われ、いつしか「幻の花壇」になっていました。
南斜花壇、日時計花壇を築くための花壇設計ノート「メモ・フローラ」に残された設計図、昭和2年4月に冨手一に宛てた南斜花壇設計の手紙(設計、必要な種苗の数、価格、取り寄せ先が記載)を元に、宮沢賢治記念館入口に復元したのがポランの広場です。
冨手一宛の手紙に「南斜花壇とでもご命名願います」と記してあったのが名の由来。
宮沢賢治にとって花壇の設計は、単なる造園という範疇を超え、「花でベートーベンの幻想曲を描く」ような、「新しい、よりよい世界の構成材料」のひとつだったのです。
『ポランの広場』の「ポラン」(「ポラーノ」)は「ポラリス・Polaris=北極星」から宮沢賢治が創作した言葉と推測されています。
「南斜花壇」はシルクロードの唐草模様(アラベスク)を取り入れたもので、歩道が蔓(ツル)を、円形の花壇が果実を表し、非対称に築かれています。
童話をモチーフにしたモザイク画も必見です。
「賢治先生御苦心の設計が出来ていよいよ南斜花壇が造られることになり、お忙しい中を花巻温泉に来られました。まだ農学校の先生でしたからきっと土曜か日曜だったでしょう。農学校の実習服を着て大きい麦から帽子をかぶって、丁度農学校の実習の時の様に自ら鍬をとって順序よく仕事を進められるのでした。松の林をバックにした南向のゆるやかな斜面約一反歩位きれいに整地が出来ました。四月の下旬でした。さんさんと降り注ぐ春の陽を受けた黒土からはかげろうがゆれて居ました。先生は『一服するベナス』と土に腰を下して南の地平線をジッと見つめて居られました。」(『南斜花壇』冨手一)
ポランの広場 | |
名称 | ポランの広場/ぽらんのひろば |
所在地 | 岩手県花巻市矢沢1 |
関連HP | 花巻観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | JR花巻駅から岩手県交通バス新花巻駅経由晴山行きで18分、賢治記念館前下車、徒歩10分 |
ドライブで | 東北自動車道花巻南ICから約8.5km |
駐車場 | 宮沢賢治記念館駐車場(60台/無料)を利用 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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