岩手県北上市のブナの原生林に囲まれた夏油渓谷に湧く秘湯で、難読温泉でもある夏油温泉(げとうおんせん)。2軒の宿のうち、元湯となるのが元湯夏油。歴史ある湯治場で本館・別館、駒形館・嶽館の旅館部(70室)、紅葉館・薬師館・夏油館・経塚館の自炊部(40室)があり、ちょっとした集落を形成しています。国民保養温泉地にも指定。
温泉をのんびり楽しむのには絶好の宿
夏油三山(げとうさんざん=牛形山・経塚山・駒ヶ岳)の登山口、焼石岳の北麓、標高700mの高地に湧く温泉。
850年ほど前、傷ついた猿を追った狩人が発見したという伝説が残る古湯で、日本秘湯を守る会の会員。
7つある源泉は、塩化物泉、硫酸塩泉などすべて泉質が異なり、効能も高血圧、眼疾患など多様。
夏油川沿いに大湯(混浴)、滝の湯(女性専用)、疝気の湯(混浴)、真湯(混浴)、女の湯(目の湯/混浴)の5つの露天風呂があり、日帰り入浴が可能。
内風呂は、白猿の湯、小天狗の湯があり、ともに男女別。
泉質は、大湯、滝の湯、疝気の湯、真湯がナトリウム・カルシウム塩化物泉(すべて源泉は異なります)。
女の湯が、ナトリウム・カルシウム塩化物・硫酸塩泉。
白猿の湯、小天狗の湯が、カルシウム・ナトリウム硫酸塩・塩化物泉(源泉は異なります)。
すべての湯船が源泉掛け流しです。
混浴の湯船が多いが女性専用時間も設けられています。
「湯ったりお弁当プラン」、「湯ったりお膳プラン」という食事付の日帰り入浴プラン(浴衣・バスタオル・タオル付)も用意。
旅館部でもトイレ付きの部屋はないので、都会的な快適さ、豪華さを求める人にはおすすめできませんが、温泉の質、温かみのある料理に、根強いファンが多い温泉旅館です。
夏油温泉近くにある天狗の岩と呼ばれる場所は、石灰華ドームで、「夏油温泉の石灰華」として国の特別天然記念物に指定されています。
夏油という難読地名の由来は「えみし」の言葉!?
ちなみに夏油という地名の由来は、アイヌ語の「グット・オ」(崖のあるところ)という説もありますが、アイヌ語の崖は一般的にピラ(pira)、またはケシ(kes)。
このケシ・オロ(kes-oro=崖・あるところ)から「げとお」に転じるというのは少し無理があるようにも思えます。
そもそも、アイヌ文化は、チンギスの孫・フビライ=ハンが間宮海峡を封鎖した以降、つまりは鎌倉時代以降、蝦夷地(北海道)で花開いた文化。
ただし、北東北3県を中心に、宮城県北部あたりまでは、古代(4世紀〜7世紀)「えみし」(蝦夷)といわれる先住民族が暮らし、しかもアイヌ語に極めて近い言葉を用いていた可能性が高いので、「えみし」の言葉で、ケシ・オロがゲトウに転じたという可能性は大いにあるのです。
夏油温泉 元湯夏油 | |
名称 | 夏油温泉 元湯夏油/げとうおんせん もとゆげとう |
所在地 | 岩手県北上市和賀町岩崎新田1-22 |
関連HP | 夏油温泉 元湯夏油公式ホームページ |
電車・バスで | JR北上駅から夏油温泉行きバス(5月中旬~11月中旬運行)で1時間6分、終点下車 |
ドライブで | 東北自動車道北上金ヶ崎ICから約26km、北上江釣子ICから約27km、秋田自動車道北上西ICから約22km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 夏油温泉 元湯夏油 TEL:090-5834-5151/FAX:0197-62-8033 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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