香川県三豊市にある真言宗善通寺派の古刹、大興寺(だいこうじ)。本尊は薬師如来。四国八十八ヶ所霊場第67番札所で、山号の小松尾山にちなみ、地元では「小松尾寺」として親しまれています。弘仁13年(822年)、嵯峨天皇の命で空海が創建したと伝えられ、その後、修行道場として栄えました。
奈良時代創建とも推測される古刹
正式名は、小松尾山不動光院大興寺。
寺伝によれば、天平14年(742年)、熊野三所権現鎮護のために東大寺末寺として創建(現在地から1km北西)、延暦11年(792年)に空海が巡錫し、弘仁13年(822年)に嵯峨天皇の命で現寺地に再興されたと伝えられています。
境内からは弘仁13年(822年)の創建以前の瓦などが発掘されていることから草創は奈良時代とも推測される古刹です。
最盛期には真言宗4坊、天台宗12坊が並び、同じ境内でふたつの宗派が修行に励んでいたという歴史を有していますが、戦国時代末に長宗我部元親の兵火で焼失、荒廃したと伝えられ、江戸時代に再興されています。
苔むす石段の中ほどに空海(弘法大師)手植え伝承のあるカヤとクスの巨木がそびえ、現存する本堂は寛保元年(1741年)の再建。
真言宗の寺ですが、真言天台二宗が兼学したという珍しい来歴のため天台宗の影響が大きく、本堂左の空海を祀る弘法大師堂(春秋の彼岸の日に御開帳)に対し、本堂右に天台大師・智顗(ちぎ=6世紀、中国での天台宗開祖)を祀る天台大師堂があるという配置がその名残りとなっています。
本尊脇侍は、不動明王立像と毘沙門天立像ですが、不動明王立像は天台様式に。
仁王門の金剛力士像は鎌倉時代の作で、運慶の作という伝承も。
像高314cmは、八十八ヶ所中最大。
仁王門の「大興寺」と記された扁額には文永4年(1267年)の年号と「従三位藤原朝臣経朝」の裏書きがあり、こちらも鎌倉時代のもの。
「七日燈明」と呼ばれる祈願は、赤い大ローソクに願意・願主名を書き込み、大興寺秘法で祈願してもらうもので、とくに病気平癒、安産、良縁にご利益ありとのこと(郵送でも受け付け)。
例年4月第3日曜に催される「ひゃっかうどんお接待」はお遍路さんに好評。
「ひゃっかうどんお接待」は、凶作に見舞われた大興寺周辺に住む農民が、弘法大師に豊作祈願するために始まったもの。
甘辛く仕上げた出汁(だし)でヒャッカ(高菜の一種)を煮込んだうどんは大興寺の名物で香川県内外のお遍路さんの人気を集めています。
四国八十八ヶ所 霊場間の距離・時間
66番札所・雲辺寺(徳島県三好市池田町白地ノロウチ763-2)・・・(車13km・50分/徒歩13.5km・3時間30分) ・・・ 67番札所・大興寺(香川県三豊市山本町辻4209)・・・ (車10km・20分/徒歩9km・2時間)・・・ 68番札所・神恵院(香川県観音寺市八幡町1-2-7)
大興寺(四国八十八ヶ所霊場第67番札所) | |
名称 | 大興寺(四国八十八ヶ所霊場第67番札所)/だいこうじ |
所在地 | 香川県三豊市山本町辻4209 |
関連HP | 大興寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR観音寺駅からタクシーで20分 |
ドライブで | 高松自動車道大野原ICから約8.5km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 大興寺 TEL:0875-63-2341 |
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