鹿児島県南九州市知覧町、島津藩政時代に113ヶ所築いた外城(とじょう)の一つ知覧の武家屋敷群が、南九州市知覧伝統的建造物群保存地区。国の重伝建に選定されたエリアで、武家屋敷には美しい庭園があるほか、町並み全体が箱庭のような趣があるため、散策にも絶好です。
武家屋敷の7つの庭園は国の名勝に
4分の1を数えるほど武士の割合が多かった薩摩藩では(全国平均は6%)、本城である鹿児島城の城下にすべての武士を集住させることができなかったため、独自に、各地の山城の周辺(麓集落)に武家屋敷群を築くという外城制度を導入。
麓集落周辺に農村集落(在)、農村の商業地域(野町)、漁村(浦)の商業地域(浦町)、寺社門前町などを配し、地方行政の単位にもなっていました。
薩摩藩では幕末まで、兵農分離が行なわれず、麓集落で武士は中世と同様に半農半士の生活を送っていたのです。
薩摩藩が領内各地に設けた外城は、中心に置かれた行政庁の仮屋(かりや)と重臣や郷士の居住区である麓集落の武家屋敷から成っていました。
町割や家並みが往時のままに残された知覧は、見事な石垣と生垣が連なる独特の景観を形成し、18.6haが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定。
知覧の武家屋敷が現在のような形に整備されたのは、江戸時代の半ば、18世紀中頃だと推測されています。
どの屋敷も石垣や端正に手入れされた生垣のある庭園を持ち、母ヶ岳を借景に自然をよく取り入れています。
「優れた意匠で構成されており、また、その手法は琉球庭園と相通ずるものがあり、庭園文化の伝播を知る上でも貴重な存在である」として国の名勝に指定された7つの庭園(知覧麓庭園=西郷恵一郎氏庭園、平山克己氏庭園、平山亮一氏庭園、佐多美舟氏庭園、佐多民子氏庭園、佐多直忠氏庭園、森重堅氏庭園)のうち、森重堅氏庭園は築山泉水式庭園で、他の6庭園は枯山水式庭園(庭園の共通入園券が発売されています)。
また、南九州市道・城馬場線(しろばばせん)の780mは武家屋敷通りとして「日本の道100選」にも選定。
南九州市知覧伝統的建造物群保存地区 | |
名称 | 南九州市知覧伝統的建造物群保存地区/みなみきゅうしゅうしちらんでんとうてきけんぞうぶつほぞんちく |
所在地 | 鹿児島県南九州市知覧町郡 |
関連HP | 南九州市公式ホームページ |
ドライブで | 指宿スカイライン知覧ICから約9km |
駐車場 | 南九州市営駐車場(20台/無料)、知覧武家屋敷駐車場(50台/無料) |
問い合わせ | 南九州市文化財課文化財係 TEL:0993-83-4433/FAX:0993-83-3055 |
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