稲村ヶ崎

鎌倉の由比ヶ浜と七里ヶ浜の間に位置する岩礁の岬。新田義貞が鎌倉に攻め入ったのもこの稲村ヶ崎から。かつては天然の砦（とりで）で、西方から鎌倉に攻め入ろうとする軍勢は、直前に海が迫り、急峻な断崖の稲村ヶ崎で必ず足止めを食ったという。岬周辺は鎌倉海浜公園として整備され「真白き富士の嶺」のモニュメントも立っています。

鎌倉を守った太平洋に突き出した断崖

稲村ヶ崎という地名は、稲を積んだ形に似ていることに由来。
元弘3年（1333年）5月21日、新田義貞は海岸沿いに鎌倉への侵入を試みますが、潮が満ちており、稲村ヶ崎を越えることができません。
新田義貞が潮が引くのを念じて剣を投じると、見事に干潮となって鎌倉に攻め入ることができたと『太平記』には記されています。
稲村ヶ崎（新田義貞徒渉伝説地）として国の史跡になっています。

昭和3年、県道片瀬鎌倉線（現・国道134号）を通す際に、山側を掘削して切り通しを造り、岬先端が小山として取り残されたようになっています。

第二次世界大戦末期には「人間機雷」と呼ばれる特攻兵器「伏龍」の待機陣地ともなっています。
簡易な潜水具を着用した兵士が機雷を手にして海底に立って待ち構えるという、非人道的な戦術で、大日本帝国海軍の海軍工作学校が作成し、海軍飛行予科練習生（予科練）に特攻させるというもの。
現在は立入禁止ですが、稲村ヶ崎先端部の海蝕洞などがその秘密基地の跡です。

日没時には江ノ島や富士山がシルエットに!

鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区として整備された園内には、明治43年に七里ヶ浜沖で起こった逗子開成中学校ボート部の慰霊碑が立ち、慰霊碑には『真白き富士の根』の歌詞が刻まれています。

江の島や富士山を遠望し、日没の美しいビューポントとしても有名で「かながわ景勝50選」に選定。
この景勝地を逃すはずもなく、サザンオールスターズの桑田佳祐が監督を務めた映画『稲村ジェーン』の舞台にもなっています。
20年に一度の台風によってもたらされるという伝説のビッグウェーブ「ジェーン」を待つサーファーたちの物語で、加勢大周主演。
サザンオールスターズの49枚目のシングル『君こそスターだ』の冒頭は、「稲村ヶ崎は今日も雨」。

また、主題歌『さらば涙と言おう』で有名なテレビドラマ『おれは男だ!』（昭和46年〜47年放映／森田健作主演）にも稲村ヶ崎周辺が何度も登場します。

稲村ヶ崎の背後には大海原を一望にする稲村ヶ崎温泉（炭酸水素塩泉／モール温泉）もあり、日帰り入浴が可能。

稲村ヶ崎
名称	稲村ヶ崎／いなむらがさき Inamuragasaki Cape
所在地	神奈川県鎌倉市稲村ガ崎
関連HP	鎌倉市観光協会公式ホームページ
電車・バスで	江ノ島電鉄稲村ヶ浜駅から徒歩5分
ドライブで	横浜横須賀道路朝比奈ICから約10km
駐車場	稲村ガ崎駐車場（50台／有料）
問い合わせ	鎌倉市公園協会 TEL:0467-45-2750
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。