神奈川県川崎市多摩区、多摩川に築かれた取水用のダムが上河原堰堤(かみがわらえんてい)。徳川家康の関東転封に伴って開削された二ヶ領用水の取水口にある堰堤で、昭和16年にコンクリート化、さらに昭和46年に魚道などが設置される堰堤に改修、平成24年には起伏ゲートが付けられています。
二ヶ領用水取水用のダム
当初の上河原堰は、竹材や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰め込んだ蛇籠(じゃかご)と丸太と石材を組み合わせた木工沈床(もっこうちんしょう)などを利用した伝統工法による堰堤でした。
その後、関東大震災後の復興で上流で砂利が採取され、羽村堰からの取水で川床が下がり取水が困難になったこと、さらに洪水のたびに堰堤が欠壊するため、昭和16年から4年がかりでコンクリート化工事が行なわれ、全長425m、高低差3.6mの多段式鉄筋コンクリートの重力式浮ダムに生まれ変わりました。
昭和41年6月27日の台風4号などの豪雨でこのダムも一部損壊。
昭和46年の改修で川崎市側に洪水吐ゲート3門と全長163mの管理橋、そして魚が遡上できる魚道、固定堰と洪水吐ゲートの間に流量調整ゲート(14m)が設けられています。
調布市側にもハーフコーン型魚道つきの固定堰(248m)が設置されました。
固定堰となったことで、大量の土砂が堆積するという問題が生まれるため、平成24年に固定堰を切り下げて起伏ゲート(転倒ゲート)が設置されたのです。
起伏ゲート(転倒ゲート)は、水位調整などにも使用できる可動堰で、洪水時に河川の底に倒伏し流れを妨げない仕組み。
慶長6年(1611年)、上河原堰堤から二ヶ領用水が導水されたのは、多摩川の旧河道を利用したため(往時には現在の川崎も、多摩川の東岸に位置していました)。
寛政6年(1629年)には取水量を増やすため、3.5km下流の宿河原にも取水口が増設されています。
また、上河原堰堤の下流側(東京都調布市)には上河原ワンドと呼ばれる、長さ200m、幅40mという国内最大級のワンド(静流域)が築かれ、ワンド一帯が多摩川自然観察緑地になっています。
上河原堰堤 | |
名称 | 上河原堰堤/かみがわらえんてい |
所在地 | 神奈川県川崎市多摩区 |
関連HP | 川崎市公式ホームページ |
電車・バスで | JR稲田堤駅、中野島駅から徒歩15分 |
ドライブで | 東名高速道路東名川崎ICから約8km |
問い合わせ | 川崎市河川課 TEL:044-200-2903 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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