神奈川県逗子市桜山と三浦郡葉山町長柄の境界、丘陵を利用して築かれた2基の前方後円墳が長柄桜山古墳群(ながえさくらやまこふんぐん)。ともに前方後円墳で、第1号墳は墳丘長91.3m、第2号墳は墳丘長88mで、現存する神奈川県の古墳では1位、2位という巨大な古墳で、国の史跡になっています。
平成11年、考古学愛好家が見つけた神奈川県最大の古墳
第1号墳、第2号墳とも4世紀後半頃(古墳時代前期後葉)に築かれた前方後円墳。
長柄桜山古墳群は、平成11年3月4日、葉山町在住の考古学愛好家・東家洋之助さんが埴輪(はにわ)を発見したことをきっかけに調査が始まったという異色の古墳。
東家さんは、この尾根筋に人工的な何かを感じ、6年間を費やして探索。
携帯電話のアンテナ基部をつくる工事が行なわれる頂上部で、工事開始前に草を刈っていたことから埴輪片を発見、逗子市教育委員会に報告したことで古墳が発見されたという、まさに奇跡の発見(朝日新聞は「謎の古墳あらわる」とスクープ)。
しかも、それまで三浦半島では大型の前方後円墳が存在しないとされていたことから、歴史を書きかえる大発見となったのです。
第1号墳の墳丘は後円部が3段、前方部が2段で、段上には円筒埴輪(えんとうはにわ)と壺形埴輪(つぼがたはにわ)が並んでいました。
古墳であることが判明していなかったため、第1号墳、第2号墳ともに保存状態も良好で、築造当時の姿を残しています。
逗子市は、2基の古墳をつなぐハイキングコースを整備し、探勝することができます。
第1号墳の墳頂は標高127.3m、第2号墳も標高101.5mという高台です。
第1号墳からは逗子の市街地を眼下に、東京湾越しに房総半島を、第2号墳からは富士山を眺望。
被葬者は、ヤマト王権と密接な関係を有し、しかも房総半島への海上交通を掌握した首長だと推測できます。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が横須賀市の走水から東京湾を渡って房総に至ったという伝承もあることから、大和(ヤマト王権)〜駿河(焼津)〜相模(厚木)〜三浦半島(逗子・横須賀)〜(東京湾)〜房総という古代の交易ルートの重要な地にあったことがわかります。
1号墳は葉桜住宅側からのアプローチが便利ですが、2号墳は蘆花記念公園側にあるので、蘆花記念公園を起点に、2号墳、1号墳とハイキングして、葉桜バス停(逗子駅発の京急バスが1時間に2本ほど)に下るプランがおすすめです(またはその逆コース)。
駐車場はないので、公共交通機関の利用を。
逗子駅を起終点とするルート「長柄桜山古墳回廊」は5.5km、所要1時間40分です。
長柄桜山古墳群・第1号墳 | |
名称 | 長柄桜山古墳群・第1号墳/ながえさくらやまこふんぐん・だいいちごうふん |
所在地 | 神奈川県逗子市桜山7丁目・三浦郡葉山町長柄芳ヶ久保 |
関連HP | 逗子市公式ホームページ |
電車・バスで | 京浜急行逗子・葉山駅から徒歩30分。JR逗子駅から徒歩35分 |
ドライブで | 横浜横須賀道路逗子ICから約4km |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 逗子市教育部社会教育課 TEL:046-872-8153 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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