神奈川県横浜市中区、元町と本牧を結ぶ本牧通り(横浜市道関内本牧線)の道路トンネルが、山手隧道(やまてずいどう)。関東大震災の復興事業として昭和3年に完成した化粧石張りのトンネル。元町・山手地区の震災復興施設群のひとつで、横浜市認定歴史的建造物、土木学会選奨土木遺産になっています。
完成当時、道路トンネルの幅員としては日本最大
大正12年9月に発生した関東大震災では、震源が相模湾海底だったこともあって、中心部の多くが埋立地であったこともあって横浜は甚大な被害を受けています。
横浜市内では震災復興事業による、横浜三塔(神奈川県庁本庁舎、横浜税関、開港記念横浜会館)の建設・修築、道路の拡幅、トンネルの整備や架橋、区画整理、公園の造成、水道の新設などが行なわれ、市街地の基盤が整備されています。
地元で「麦田のトンネル」とも呼ばれる山手隧道は、全長219.0m、幅員10.73m、アーチ断面の山岳トンネル。
関東大震災の復興事業として、内務省復興局の設計、間組(はざまぐみ)の施工で開削されたもので、当時の道路トンネルの幅員としては日本最大で、「日本一・東洋一の幅員を誇る道路トンネル」と謳われていました。
関内地区と本牧方面を直結させるには山を掘削する必要があるため、当時の価格で52万円(現在の貨幣価値に換算すると36億円)が投入された震災復興事業としては最大規模のプロジェクトだったのです。
しかも内務省復興局が担当した隅田川の六大橋梁と同様で、周辺環境に配慮したデザインにもこだわり、震災復興で麦田町・本牧側出口に建設された櫻道橋と関連するデザインになっています。
麦田町側の坑門部の銘板には昭和2年12月と刻まれていますが、これは完成直後に暫定的に利用されたから。
東側には明治44年に完成の櫻道隧道(後の本牧隧道、現・第二山手隧道)があり、横浜電気鉄道(後の横浜市電)が走っていました。
昭和44年の横浜市電本牧線廃止に伴い、本牧隧道は第二山手隧道に改称され、南行き一方通行の道路トンネルに、山手隧道が北行き一方通行になっています。
櫻道橋、打越橋、西之橋、谷戸橋とともに「元町・山手地区の震災復興施設群」として土木学会選奨土木遺産に認定。
山手隧道 | |
名称 | 山手隧道/やまてずいどう |
所在地 | 神奈川県横浜市中区麦田町1-17~石川町1-39 |
関連HP | 横浜市公式ホームページ |
電車・バスで | JR石川町駅から徒歩5分 |
問い合わせ | 横浜市都市整備局企画部都市デザイン室 TEL:045-671-2023/FAX:045-664-4539 |
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