高知から室戸への浜街道沿いに位置する高知県室戸市吉良川町(きらがわちょう)。明治時代から昭和初期にかけて良質の木炭(土佐備長炭)の集散地として栄えた町で、18.3haが国の重伝建(高知県内では安芸市土居廓中と2ヶ所のみ)、室戸市吉良川町伝統的建造物群保存地区に選定されています。
土佐備長炭の集散地として栄えた町
吉良川の炭は火力が強い樫(かし)や馬目樫(うまめがし=姥目樫・うばめがし)が原料だったので近世に入り大坂・京で重宝され、木炭の需要が増えた明治期以降に繁栄し、大正元年に備長炭の製法を学んでから木炭の品質は飛躍的に向上、市場価値が高まりました。
昭和初期に鞍馬谷の紀州備長炭式窯が、林員吉(はやしかずきち)たちによって量産可能な横くべ式(炭材を寝かせて窯に詰めていく方法)に改良され、昭和5年〜6年の昭和大恐慌の困窮から町を救っています。
そんな吉良川町の町並みのうち、東町・西町および西松原・西青・下ノ内の一部、18.3haが国の伝統的建造物群保存地区に指定。
保存地区の旧国道の拡幅が計画されたこともありましたが、住民の反対により海岸寄りにバイパス(国道55号)が建設され、往時の町並みがのこされてえいます。
主屋や蔵の外壁は土佐漆喰仕上げで、水切り瓦を使った特徴ある意匠。
水切り瓦は、雨水から白壁を守るために施されたもの。
家々には「いしぐろ」と呼ばれる割り玉石を積んだ石垣が巡らされていますが、水切り瓦同様に黒潮流れる太平洋に面した土佐独特の強い暴風雨から家屋を守るための工夫です。
周辺の山々に自生する馬目樫から土佐備長炭を生産して大いに栄えた吉良川町。
その炭問屋などの商家の立派な土蔵が建ち並び、美しい家並みが続いています。
そのうちの1軒の米蔵を再生してカフェとしたのが日曜、祝日のみ営業の「蔵空間茶館」(カフェスペース)を備えた「蔵空間蔵宿」で、カフェでは吉良川町産出の土佐備長炭で焙いた炭火自家焙煎コーヒーと自家製手作りケーキで休息が可能。
土佐備長炭で自家焙煎という贅沢なコーヒーが味わえるばかりでなく、庭、母屋、離れを見学すれば明治、大正時代の吉良川の町屋の形態がよくわかります。
町並み探勝のビジターセンター的な性格も帯びているので、ぜひお立ち寄りを。
室戸市吉良川町伝統的建造物群保存地区 | |
名称 | 室戸市吉良川町伝統的建造物群保存地区/むろとしきらがわちょうでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく |
所在地 | 高知県室戸市吉良川町甲 |
関連HP | 室戸市公式ホームページ |
ドライブで | 高知自動車道南国ICから約63km |
駐車場 | 町並み駐車場(20台/無料) |
問い合わせ | 室戸市生涯学習課 TEL:0887-22-5142 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag