大阪国際空港(伊丹空港)に離陸する飛行機の窓から、「池の中に日本列島」がある園地を目にすることができます。これが空港から4kmほどのところにある兵庫県伊丹市の昆陽池公園(こやいけこうえん)。「伊丹空港を飛び立ち、旋回しながら高度を上げていく時に見えることが多い」とのこと。
稚内〜鹿児島は300m、6000分の1スケールの日本列島
昆陽池(こやのいけ、こやいけ)は、もともと奈良時代に行基が開削されたと伝えられるため池。
昆陽上池と昆陽下池が築かれましたが、江戸時代初期の慶長13年(1608年)、新田開発のため昆陽下池が埋め立てられ、池はひとつに。
残された上池が昆陽大池、あるいは昆陽池と呼ばれ、明治18年の地図には今よりもかなり大きな池が描かれています。
戦後の高度経済成長で昆陽池にも都市化の波が押し寄せ、昭和35年、民間企業が福利施設を建設のため東北部分を埋め立て、企業のグラウンドと養護学校に。
これによって池面積は36haから28haに減少しています。
伊丹市はこの開発に危機感を抱き、昭和40年に伊丹市は風致保存のため、都市公園とし、さらに水道用水確保の目的で、昭和46年、貯水池機能をもつ公園化事業を決定。
この決定で、昆陽池公園は、野鳥保全などを目的とした総合公園に変身します。
その際、自然池の中に野鳥が訪れて憩えるような島を築くことになり、伊丹空港の離陸コース直下にあるという利点を活かし、伊丹市のランドマークになるよう日本列島の形にしたのです。
北海道、本州、四国、九州の四島を築き、稚内〜鹿児島は300mほど(実際の距離は1800kmほどなので、6000分の1スケール)。
栗石と粘土で「沿岸」を固めて、浸食と「国土の流出」を防いでいます。
繁茂する植物のうち、もともとのものははアカメヤナギ、イノバラの数本のみで、ほかのセンダン、たナンキンハゼなどは鳥が運んだ実生のもの。
『昆陽池公園の計画設計工事および管理運営の報告』(平成15年)にも「工事中、日本列島が形づくられたとたんに鳥が卵を産みに来た」と記され、さらに令和4年、令和6年の冬場には国の特別天然記念物・コウノトリ(兵庫県豊岡市、京都府綾部市で巣立ったもの)の飛来も確認されているので、「鳥類にも愛される日本列島」ということに。
飛行機から「日本列島が見える公園」が伊丹市に! | |
所在地 | 兵庫県伊丹市昆陽池3丁目 |
場所 | 昆陽池公園/こやいけこうえん |
関連HP | 伊丹市公式ホームページ |
電車・バスで | JR伊丹駅から伊丹市営バスで昆陽池公園前下車 |
ドライブで | 中国自動車道中国池田ICから約6km |
駐車場 | 151台/有料 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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