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天草炭業烏帽子坑跡

天草炭業烏帽子坑跡

熊本県天草市牛深町、天草下島の南端、下須島(げすじま)の西岸の岩礁・烏帽子瀬(えぼしせ)に築かれたレンガ造りの抗口が、天草炭業烏帽子坑跡。明治30年、天草炭業が採炭のために構築した海底炭鉱跡で、キラ炭(綺羅炭)と呼ばれる良質な無煙炭を採炭した炭鉱の抗口で、天草炭業烏帽子坑跡展望所などから眺望できます。

烏帽子瀬に築かれた炭鉱の抗口が現存、不思議な光景に

下須島周辺で産する石炭は、無煙炭で、しかもカロリーが高く、揮発性が強いという優秀な品質だあったため、海軍が艦船用の燃料として着目、危険の伴う海底に続く炭鉱でも採炭を行ないました。

天草炭業(本社は東京京橋区月島町)を設立したのは、帆足義方(ほあしよしかた)。
西南戦争で九州を訪れた際に、炭鉱業の将来性を確信して軍を退職し、筑豊で活躍した鉱業家です。

株主の児島喜三郎は、烏帽子坑を視察し、「この坑は、海中の烏帽子の如き岩が突出して、それから600間程斜めに小さい岩がある。この岩の下は、一面の石炭である。実に広大な鉱区には違いない。この烏帽子岩に石垣をめぐらし、これへ陸から橋を架け、その橋へ軌道を敷き、6尺・30尺の蒸気機関が2個と捲揚器械が据え付けてございます。先頃、海軍の磯部さん、その後に武田さんと訪れ、いずれも炭業熱心の将校方が御巡回の際、この鉱区を御覧になりまして、その炭質・設計・鉱区は申し分ない名鉱区であると深く賞賛せられた」(児島喜三郎述・鈴木定五郎記『天草炭業實況談』)と述べています。

明治31年からの採炭を本格的に開始していますが、会社の規模が小さく(少資本)、海底炭鉱ということもあって、湧水などに悩まされ、坑内排水困難な状況に陥ったためで数年で採炭を中止しています。

天草炭業は烏帽子抗のほか、一町田、念河原、新田平、茂串、権現山などにも炭鉱を有し、海軍に石炭を供給していました。

石積みの波除け堤防、アーチ型の赤レンガの抗口は台風や高波にも崩落せずに現存。
貴重な文化遺産になっています。
上陸は文化遺産の保護のため、厳禁。

天草炭業烏帽子坑跡
名称 天草炭業烏帽子坑跡/あまくさたんぎょうえぼしこうあと
所在地 熊本県天草市牛深町西田代又
関連HP 天草市公式ホームページ
ドライブで 九州自動車道松橋ICから約117km
駐車場 天草炭業烏帽子坑跡展望所駐車場(3台/無料)
問い合わせ 天草市観光文化部文化課 TEL:0969-32-6784
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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