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陸からクジラの潮吹きがわかる!「クジラの見える丘」

陸(おか)からマッコウクジラの潮吹きを視認できる場所は、世界的に見てもレア。
というのも歯のある動物では世界最大というマッコウクジラは、その生涯の3分の2を深海で過ごし、2000mは潜るから。
つまり、「陸地近くに深海がないと、そもそも陸からマッコウクジラを眺めることができない」(長崎大学の研究員の話)ということになります。

根室海峡は水深2000mオーバー

たとえば北海道最北端・宗谷岬と樺太(サハリン)南端の西能登呂岬間の海峡幅は43kmですが、水深はわずかに30~70m。つまりここをマッコウクジラは通過できない海峡です。
それに対して根室海峡は北口中央部では、2400mを超える深さがあるのです。知床半島の斜里側で観察できるクジラは、ミンククジラ、ツチクジラ、シャチ、オウギハクジラ、シロイルカ、カマイルカ、イシイルカ、ネズミイルカの8種。
これに加えて知床半島羅臼側(根室海峡)ではザトウクジラ、マッコウクジラが観察されています。
マッコウクジラが観察できるのも、「根室海峡は知床半島を逆さにしたような深海」(アルラン3世号の高橋船長の話)だからです。
しかも陸に向かって凹地のような場所があるので、ここにマッコウクジラが潜れば、噴気がかなり陸近くで視認できるわけなのです。

根室海峡は野付半島方面(知床半島の根元・標津町)では非常に浅いので大型のマッコウクジラは通過できません。つまり、マッコウクジラは、千島列島を通過して根室海峡には北から侵入してくるのです。6月〜9月が観察できる時季ということは動物性プランクトンの増殖期、イカの水揚げシーズンと同じ。
「旨い魚がいる時季をクジラは知っているんだよな」(アルラン3世号の高橋船長の話)ということになります。

クジラの見える丘公園

夏は、長崎大学が陣取っている!

毎年、長崎大学の研究チームがお盆前頃に羅臼入りし、晴れた日にはクジラの見える丘公園に陣取って、日の出から日没まで、クジラの出没を観察しています。当然、ルサ川沖などの世界遺産に登録された海域でも潮を吹くわけで、かなり遠方まで見渡せるようです。
ここで視認された情報は、羅臼港を出航する4隻のホエールウォッチングの船にも連絡がいきます。
また「エバーグリーン」(長谷川正人船長)、「アルラン3世号」(高橋幸雄船長)などの船には水中マイクを手にした長崎大学のスタッフが乗船。記録を取っているのです。
「北緯○○東経○○にクジラのブロウ、●時●分」と連絡があれば、仮にそのクジラが根室海峡深くに潜ってしまったとしても、30分ほど後にその近海で待っていれば、必ずマッコウクジラは浮上してくるというわけです。

そんな連係プレーもあって、8月で晴天、波が穏やかなら「出航すれば、まず9割ほどの確率でマッコウクジラに遭遇できる」ということに。

羅臼灯台

クジラの見える丘公園は、羅臼市街(羅臼港)から相泊方面に道道87号を走り、ざいもく岩トンネルを抜けたところで鋭角に左折、狭い道を上った先に広い駐車場があります。目印は赤白のツートンカラーの羅臼灯台です。道道を離れて駐車場まではすれ違いの困難な狭い道ですから対向車に注意して進入を。
できれば双眼鏡を持参してください。万一、クジラの噴気が確認できなくても、晴れていれば対岸の北方領土・国後(くなしり)方面の眺望が抜群です。

羅臼ではマッコウクジラをどうやって探している?

2016年6月16日

 

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