大阪府最大の池は、大阪府岸和田市にある久米田池(くめだいけ)で、周囲2.6kmという巨大なため池。三方を自然地形の台地で、残り部分に堤防を築いてため池にしたのが聖武天皇の命を受けた行基だと伝えられます。完成は天平10年(738年)で、近くにあった久米寺がため池の維持管理を担っていました。
ため池百選、「世界かんがい施設遺産」にも認定
久米田池がある八木郷一帯は、かつて干ばつに悩まされていましたが、聖武天皇は僧・行基に灌漑用のため池築造を命じて工事が始まりました。
雨乞いなど信仰の対象で、神体山として崇拝されていた神於山から流れる轟川(春木川)の水をせき止めたる大工事で、鍬(すき)や鋤(くわ)で川を掘り下げ、堤を築くという人海戦術のため、完成には14年の歳月を費やしています。
聖武天皇が奈良大仏の建造を発願し、行基に命じたのは天平17年(745年)なので、その7年前ということになります。
行基は、池のすぐそばに、久米田池を維持管理する施設として「隆池院」(現・久米田寺)を建立、戦国時代までは久米田寺が池を維持管理しましたが、それ以降は灌漑地域14ヶ村(池尻、田治米、大町、西大路、箕土路、下池田、小松里、額、荒木、中井、吉井、春木、加守、西之内)で結成された地域共同体・久米田池郷に引き継がれ、昭和32年からは久米田池土地改良区が管理を担っています。
1300年間もの間、管理されたため池ということで、国際かんがい排水委員会(ICID=International Commission on Irrigation and Drainage)の「世界かんがい施設遺産」(Heritage Irrigation Structures)にも登録されています。
大阪府には狭山池(大阪狭山市)も「世界かんがい施設遺産」認定で、実は飛鳥時代前期築造とされることから、狭山池が日本最古のダム式ため池となっています。
大阪府最大の池は、奈良時代に行基が開削! | |
所在地 | 大阪府岸和田市久米田池 |
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