広島県でメロンパンといえば、「呉のメロンパン」。メロンパンブームは、平成5年、山崎製パンの「メロンケーキデニッシュ」が爆発的にヒットしたことが第一次ブームともいわれますが、「呉のメロンパン」の発売元、店名(会社名)「メロンパン」は、昭和11年創業。メロンパンのルーツ的な存在です。
90年近い歴史に裏付けられた、味と品質が自慢
メロンパンは大きく分けて「円形」とラグビーボールを思わせる「紡錘形」(ぼうすいけい)に分けられますが、前者は庶民には手の届かなかったマスクメロンをイメージ、後者は数本の溝を入れてマクワウリを表しているともいわれています。
メロンパンの発祥については定かでありませんが、国内に出回ったのが大正6年~7年頃、つまり高級なメロンという存在を庶民が認識したのは昭和初期くらいと想像できるのです。
メロンパン的なパンが世に出たのも昭和5年以降と推測され、昭和11年創業の「呉のメロンパン」はまさに老舗中の老舗。
「紡錘形」メロンパンのルーツともいわれています。
創業者の中塩春馬(なかしおはるま)氏は、昭和11年、ビスケット生地をのせて焼いたカスタードクリーム入りの紡錘型のパンを「メロンパン」として販売。
「紡錘形」メロンパンの製造元、「メロンパン本店」(広島県呉市本通7丁目/JR呉駅からタクシー10分)は、1階が店舗、2階が製造工場。
店内には50種ほどのパンが並ぶというように、メロンパンの専門店ではありませんが、多くの人がこの看板商品の「メロンパン」を購入しています。
創業者の中塩春馬氏は、洋食店を営んでいましたが「甘いパンをお腹いっぱい食べて幸せな気持ちになってほしい」と、料理に使っていたライスを成型するメロン型を使って開発したのがメロンパンなんだとか。
高度成長時代までは庶民にとってメロンといえばマクワウリ、背伸びしてもマクワウリの交配で生まれたプリンスメロン(昭和37年に登場)だったのです。
メロンパンという「名称そのもの」の由来は、この「呉のメロンパン」がルーツというものうなづけます。
当主は3代目となる中塩隆馬さんですが、当主が初代のレシピを受け継ぎ、生地から練り上げているとのこと。
中に入ったカスタードクリームの量も、初めて食べた人には圧倒的な存在感に驚かされるはず。
近年のブームにのって登場のメロンパンとは異なり、さすがに90年近い歴史に裏付けられた、味と品質。
初代から培われてきた店の伝統として、広告にお金をかけるなら、品質アップをというポリシーがあるため、料金的にも驚くほど手頃です。
オンラインショップもあり、北海道を除いて地方発送も可能。
「送料が高く付いてしまって申しわけない」と店側は済まなそうな雰囲気ですが、全国からの「メロンパンを味わいたい」という声に応えるために、注文を受け付けることに。
賞味期限は、6月〜9月が製造日から2日、それ以外は3日なので、注文は冬場が狙い目です。
ちなみに、呉市観光振興課によれば、呉市ではこの「紡錘形」がいわゆるメロンパンで、円形のメロンパン(一般的なメロンパン)は、「コッペパン」、コッペパンのことは「給食のパン」と称されるというややこしい事態になっているとのこと。
メロンパン本店 | |
名称 | メロンパン本店/めろんぱんほんてん |
所在地 | 広島県呉市本通7-14-1 |
関連HP | メロンパン本店公式ホームページ |
電車・バスで | JR呉駅から広島電鉄バスで11分、本通7丁目下車、徒歩1分 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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