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現存最古の天守はどこ!?

日本最古の天守

日本には全国12ヶ所に往時の天守が残り、そのうち犬山城、松本城、彦根城、姫路城、松江城が国宝に指定されています。では、日本最古の天守(現存天守で最古の天守)はどこでしょう。これまでの通説は、丸岡城(福井県坂井市)だったのですが、平成31年3月の科学的な調査で、これまでの戦国時代建築説が否定され・・・。

日本最古の天守」は丸岡城だったのですが

平成27年度〜平成30年度にかけて行なわれた丸岡城天守学術調査で、これまで戦国時代の天守で、「日本最古の天守」とされていたのが、年輪、放射性炭素年代測定、酸素同位体比の3つの年代調査の結果、寛永年間(1624年~1644年)の築ということが判明したのです。

なぜ、学術調査を行なったのかといえば、国宝の指定を目指しているから。
文化庁は「国宝となるには、新しい知見を出すこと」を至上命題としているのです。

実は、天守が国宝となったのは、昭和26年の姫路城、昭和27年の松本城、犬山城、彦根城、そして63年の空白を経て平成26年の松江城の5ヶ所しかありません(国宝5天守)。
松江城の天守が国宝となったのは、平成24年、長らく所在不明だった「慶長16年」(1611年)の年号が記された祈祷札2枚(慶長16年の完成を裏付ける札)が再発見され、その札が天守地階中央にある2本の通し柱に付けられていたことが判明したからです。

その結果、元和元年(1615年)の「元和の一国一城令」(大名の居城以外のすべての支城を破却する命令で、法令の立案者は大御所・徳川家康)以前の建築年代が明確な天守として、慶長11年(1606年)の彦根城天守、慶長13年(1608年)〜慶長14年(1609年)の姫路城大天守と肩を並べる「国宝天守」の仲間入りを果たしたのです。

「現存日本最古」は推測でしかない!?

では、寛永年間(1624年~1644年)と「現存日本最古の天守」の座を明け渡した丸岡城に代わって、「現存日本最古」となった天守はどこなのかといえば、実はこれが???

候補となるのが連結・複合型が松本城天守(長野県松本市)で、松本城の大天守、渡櫓(わたりやぐら)、乾小天守(いぬいこてんしゅ)は古文書などから1590年代の築とされてきたのです。
文化庁によると、同時期の現存天守はほかに、慶長6年(1601年)築とされる犬山城(愛知県犬山市)、慶長11年(1606年)の彦根城(滋賀県彦根市)があり、いずれも1600年より後の築城ということに。

では、松本市は大手を振って「現存日本最古」の天守をPRできるはずなのですが、実は松本城は今回の丸岡城のような科学調査が行なわれていないのです。
松本市教育委員会は、平成2年の築造年代懇談会で複数の古文書を検証。
「木を多く伐採した」などの記述から、「石川数正・康長親子が城主を務めた文禄2年(1593年)〜文禄3年(1594年)に5棟の天守群のうち大天守、渡櫓、乾小天守が完成した」を公式見解としてきたのです。

ところがこの松本城天守の建築年も、乾小天守のみ先に造られた、天守は江戸時代の築という説もあり、「公式見解」が必ずしも決め手にはなっていないのが現状なのです。
つまりは、「多分、現存日本最古」、あるいは「現存日本最古だといいな」という感じ。

続く、候補の犬山城は、文化庁は慶長6年(1601年)築としていますが、天文6年(1537年)、織田信長の叔父、織田信康の時代に現存する天守の2階部分までが完成した(木之下城より城郭を移して築城)という説もあり、定かでありません。
現在犬山城を所有・管理する公益財団法人犬山城白帝文庫は「天守は16世紀末から17世紀前半に現在の姿に」としています。
愛知県犬山市は令和3年3月29日、国宝犬山城天守で使用されている木材の年輪を調べた結果、1590年ごろまでに天守が建設されたことが明らかになったと発表し、「犬山城こそ日本最古」と主張しています。

名古屋工業大の麓(ふもと)和善教授(建築史)や奈良文化財研究所・光谷拓実客員研究員(年輪年代学)らが令和元年9月~令和2年末、天守の木材39点の年輪を調査し、年輪幅などから伐採年代を特定したのです。
その調査で、1585年~1588年に伐採された木材が使われていることが判明し、「伐採から完成までに5年も10年もかかるとは考えづらい。1590年ごろの完成と推測できるので、犬山城が最古だ」(麓和善教授)と結論づけたのです。

戦国時代末から江戸初期の戦乱の世は、城主も交代するケースが多く、記録が残っているケースも稀(まれ)。
戦乱の世に建てられた天守は、実は年代を確定するのは困難なのです。

解体修理で建築材に年代を示す墨書きが見つかった3つの天守は、天守隅木の墨書や文書から慶長11年(1606年)築と判明した彦根城、慶長13年(1608年)に工事を開始し慶長14年(1609年)に完成した姫路城大天守、そして慶長16年(1611年)築の松江城天守の3ヶ所のみ。

松本城と、犬山城に関しては、国宝ながら戦乱の世の築城だろうということで、文化庁が国宝指定で重視する「しっかりとした築年の史料的な裏付け」はないのです。

現存天守、古い順に並べてみると・・・

推定1位 松本城

築年:文禄2年(1593年)〜文禄3年(1594年)/推定
文化財指定:国宝(昭和27年)

国宝松本城

5層天守閣としては日本最古の城。築城は1504(永生元)年ですが、5層天守閣となったのは1593〜1594(文禄2〜3)年のこと。鉄砲や矢を放つ狭間(さま)も117ヶ所も設けられ、実戦を意識した設計であることがよくわかります。本丸、二の丸一

推定2位 犬山城

築年:慶長6年(1601年)/文化庁による
文化財指定:国宝(昭和27年)

国宝犬山城

姫路城、彦根城、松本城、松江城と並ぶ国宝の天守が犬山城。天文6年(1537年)、鵜沼を対岸に木曽川を眼下にする要衝に織田与治郎信康(織田信長の叔父)が築いた天守は現存する日本最古の様式。木之下城(現・愛知県犬山市犬山愛宕・愛宕神社)から城郭

英泉の浮世絵&古地図で知る 犬山城

木曽川の河畔の小山の頂に建つ犬山城。松本城、彦根城、姫路城、松江城と並ぶ国宝5天守のひとつで、築かれた年代は最古級という天守です。木曽川を隔てた対岸は中山道の鵜沼宿(うぬましゅく)で、濃尾平野北端の交通の要衝に位置していたことがわかります。

推定3位 彦根城

築年:慶長11年(1606年)/史料・裏付けで確定
文化財指定:国宝(昭和27年)

彦根城

彦根城(滋賀県彦根市)は、姫路城などとともに国宝5天守の一つに数えられる名城で、約20年の歳月をかけて元和8年(1622年)頃に完成をみた彦根藩井伊家35万石の居城です。琵琶湖八景「月明・彦根の古城」に数えられるほど優美な姿を見せる天守は、

彦根城・天守

彦根城の国宝に指定される天守は、牛蒡(ごぼう)積みと呼ばれる一見雑に見えるが実は強固だという石垣の上に三重の天守をのせたもの。天守完成の慶長11年(1606年)には、彦根藩はまだ18万石。石高に合わせたやや小ぶりの天守となっていますが、北西

推定4位 姫路城

築年:慶長14年(1609年)/史料・裏付けで確定
文化財指定:国宝(昭和26年)

姫路城

日本の近世城郭のなかでも、築城当時の姿を残す唯一の存在といわれる姫路城。歴史は古く、1333(元弘3)年、播磨の守護職・赤松則村によって、砦が築かれたのが始まり。羽柴秀吉により、さらに池田輝政が現在の城郭を建築しました。天守群は国宝に、そし

姫路城・天守

国内に現存する12の現存天守の一つが姫路城の天守。しかも現存する天守のなかで最大の規模を誇り、大天守と3重の小天守3基(東小天守・西小天守・乾小天守)、さらに天守を結ぶ2重の渡櫓のすべてが国宝に。白漆喰総塗籠の美しい天守[gallery amp-lightbox="true" t

推定5位 松江城

築年:慶長16年(1611年)/史料・裏付けで確定
文化財指定:国宝(平成26年)

松江城(城山公園)

慶長16年(1611年)、信長・秀吉・家康に仕えた堀尾吉晴(ほりおよしはる)が亀田山に築城した城。関ヶ原の合戦後、堀尾吉晴、忠氏親子は月山富田城に入城しますが、山城で不便なため亀田山に松江城を築き、近世的な城下町を縄張りしたのです。松江城の

松江城・国宝天守

松江城の天守は、全国に現存する12天守のひとつで、国内に5つしかない国宝天守のひとつ。慶長16年(1611年)、堀尾吉晴が5年の歳月をかけて完成したもの。12天守のうち、天守閣の大きさ(平面規模)では2番目、高さ(約30m)では3番目、古さ

松江城天守閣が国宝に!

文化庁の文化審議会文化財分科会は、平成27年5月15日(金)、松江城天守(島根県松江市)を新たに国宝に指定するよう文部科学大臣に答申しました。これまで国宝天守は、世界文化遺産登録の姫路城を筆頭に、松本城、犬山城、彦根城の4つ。つまり松江城は

現存最古の天守はどこ!?
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国宝5天守に登城しよう!

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