奈良県奈良市にある南都七大寺のひとつに数えられる古刹が大安寺(だいあんじ)。聖徳太子が平群郡額田部に建立した熊凝精舎が創始で、推古天皇30年(622年)、推古天皇が田村皇子(後の舒明天皇)を派遣して聖徳太子の病気を見舞った際に、聖徳太子が大寺と成すことを皇子に遺言したと伝わる古刹です。
悪病難病封じの祈祷も
熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)は、聖徳太子が釈迦が説法を行なった祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)にならって創建した仏教修行の道場で、移転を繰り返した後に大安寺になったとされています。
天平19年(747年)作の『大安寺伽藍縁起并流記資財帳』にも聖徳太子の遺言で創建とあり、舒明天皇(じょめいてんのう=在位中、最初の遣唐使を送った天皇)が即位した際、百済川の畔に熊凝精舎を移し、百済大寺としたもの(吉備池廃寺がそれに当たると推測されています)。
天皇家が造営した最初の官立寺院ともいえる寺で、藤原京時代には大官大寺として都の南東、天香久山の麓(現・明日香村小山)に位置していましたが、和銅3年(710年)の平城京遷都後、平城宮の南の現在地に移転しています。
大安寺と称したのは天平17年(745年)以降のこと。
別名は南大寺で、南都七大寺(東大寺、西大寺、法隆寺、薬師寺、元興寺、興福寺、大安寺)のひとつに数えられ、官大寺の筆頭として壮大な伽藍を誇っていましたが、中世以降衰退しています。
本堂は近年の再建。
秘仏の十一面観音立像(国の重要文化財)は癌封じで名高いのですがが普段は公開されていません。
特別公開は例年10月~11月なのでお見逃しなく。
癌封じ、病気平癒の祈祷なども行なっています。
『光仁会・がん封じささ酒まつり』
毎年1月23日の『光仁会・がん封じささ酒まつり』は、桓武天皇(かんむてんのう)が文武百官を伴い、先帝である光仁天皇(こうにんてんのう)の一周忌の齋会を大安寺で営んだという『古事記』に記された故事に因む行事。
光仁天皇は初叙(初めて位階、官職を受けること)が29歳という不遇な白壁王時代に、しばしば大安寺境内の浄竹で酒を温め無病息災、開運を祈念したと伝わっています。
振る舞われる笹酒は「がん封じの笹酒」と広く知られており、多くの参拝者で賑わいをみせます。
名称 | 大安寺/だいあんじ |
所在地 | 奈良県奈良市大安寺2-18-1 |
関連HP | 大安寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR・近鉄奈良線奈良駅から奈良交通バス大安寺行き、シャープ前行き、白土町行きで7分、大安寺下車、徒歩10分 |
ドライブで | 西名阪自動車道天理ICから約7km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | TEL:0742−61-6312/FAX:0742−61-0473 |
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