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【新・南都八景】春日山原始林「滝坂の道」

春日山原始林「滝坂の道」

奈良市の世界文化遺産「古都奈良の文化財」は令和5年で登録から25年の節目を迎えますが、奈良市観光協会では、12月1日、SNS映えする「新・南都八景」を発表。そのうちのひとつが、春日山原始林「滝坂の道」。滝坂の道は、柳生街道の前半部分で、石畳がある風情豊かなハイキングコースになっています。

承和8年(841年)伐採が禁じられた美しい森を歩く

春日山原始林(250ha)は、世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成資産のひとつ。
春日大社の神域としてツブラジイに代表される貴重な照葉樹林帯が保護されてきた場所で、国の特別天然記念物に指定されています。

もともとは自然を畏怖する原始的な信仰がルーツだと推測され、平安時代の承和8年(841年)、勅命によって伐採が禁じられて原始的な環境が保たれ、ツブラジイ(円椎)、イチイガシ(一位樫)、ウラジロガシ(裏白樫)、サカキ(榊)、シキミ(樒)、モミ(樅)、スギ(杉)、イロハモミジ(伊呂波紅葉)、ムクロジ(無患子)などが茂り、ニホンジカやムササビが生息しています。

じつはまったく人の手が入らなかったわけではなく、春日山の東側部分は「花山」と称して興福寺や東大寺が仏事に使う樒(しきみ)や春日大社が神事に使う榊(さかき)を採取する地にもなっていました。
16世紀には豊臣秀吉によって1万本の杉の植樹が行なわれた記録もあり、当時の杉と推測できる巨木数百本も現存しています。

2.5kmにわたって石畳が敷かれる滝坂の道は、春日山原始林の縁(へり)を流れる能登川沿いに、新薬師寺から剣豪の里柳生に通じるかつての柳生街道で、江戸時代に奈良奉行所(一帯は幕府直轄領でした)が整備したもの。
花崗岩の大岩壁に地蔵二体と弥勒仏を刻んだ朝日観音(滝坂道弥勒地蔵磨崖仏)、「寝仏」と俗称される金剛界大日如来坐像などもあり、SNS映えする場所になっています。
これらの石仏は、一帯が僧の修行の場であったことの証(あかし)です。

江戸時代の奈良の名所・名産・年中行事などを豊富な挿絵とともに解説した案内書『大和名所図会』にも紅葉の名所であることが記されているので、神域として保護され、修行僧の行場であっただけでなく、行楽にも使われていたことがわかります。

【新・南都八景】春日山原始林「滝坂の道」
所在地 奈良県奈良市誓多林町・百毫寺町
場所 滝坂の道
関連HP 奈良市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR・近鉄奈良駅から奈良交通市内循環、山村町行きなどのバスで、砕石町下車、高畑町の交差点付近から
ドライブで 京奈和自動車道木津ICから約7km。西名阪自動車道天理ICから約10kmで春日大社駐車場
駐車場 春日大社駐車場(100台/有料)などを利用
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

奈良市で「新・南都八景」が誕生

奈良市の世界文化遺産「古都奈良の文化財」は令和5年で登録から25年の節目を迎えますが、奈良市観光協会では、12月1日、「新・南都八景」を発表。江戸時代に流布していた「南都八景」の令和バージョンで、SNSでの発信を期待し、「映える」場所が選定

春日山原始林

奈良市街の背後にそびえる春日山(標高294m)は、古くは御蓋山(みかさやま)とも呼ばれ、山頂には春日大社第一の祭神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が768(神護景雲2)年に白鹿に乗り天降ったとされている神跡があり、本宮神社が鎮座しています

柳生街道(滝坂の道)

奈良県奈良市、奈良から春日山(かすがやま)を越え、柳生(やぎゅう)を結ぶ旧道が柳生街道(滝坂の道)。世界遺産にも指定された春日山原始林の鬱蒼とした巨木が茂るなかを石畳の道が続いています。現在残された2.5kmにわたる石畳は江戸時代に奈良奉行

 

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