長野県下高井郡野沢温泉村にある永禄11年(1568年)創建の曹洞宗の古刹、健命寺(けんめいじ)。8代住職の晃天園瑞(こうてんえんずい)が、宝暦6年(1756年)、京都遊学の際に天王寺蕪の種を持ち帰り、野沢温泉でまいたところ、茎と葉が異常に成長。これが野沢菜になったという伝承があります。
野沢菜発祥の地で寺種を購入
かつては現在の村役場あたりにありましたが、文禄2年(1593年)に現在地に遷っています。
寺には野沢菜発祥の寺を記す碑もあり、現在も隣接する保泉地(伝統の寺種を維持するための畑)で野沢菜を栽培しています。
7月中旬~8月中旬なら、「寺種」と称する「蕪菜」(野沢菜の旧称)の種子(1dl)を分けてもらえます(有料/希望で郵送も可能)。
数に限りがありますが、購入希望の場合は、庫裏(くり)玄関へ。
薬師堂に祀られた薬師瑠璃光如来は上杉謙信の陣中守り本尊だったと伝えられています。
本物の野沢菜は「寺種」を栽培し麻釜で洗う!
晃天園瑞が天王寺蕪を持ち帰ったのは、あくまでも伝承で、DNAを精査すると天王寺蕪ではない何か別のものを買わされた可能性が大なのですが、結果として葉が成長する野沢菜が誕生したのです。
突然変異したと喧伝(けんでん)されてきましたが、遺伝学的に否定されているのです。
以前、取材時に突然変異説が否定された話をすると、野沢温泉の惣代(そうだい)を務めた人は「上方で種を購入する際、信州の山里から来たと知って、騙されたんでしょう」と笑っていました。
本物の野沢菜漬けは、健命寺の寺種を使い、「麻畑」(おばたけ)と呼ばれる畑で栽培され、野沢温泉の麻釜(おがま)で洗ってから漬け込んだものをいいますが、実は野沢温泉でもその方法で漬けられているのはわずかなんだとか。
麻釜の熱湯で洗うと適度に柔らかくなり、温泉成分のミネラルも加わって、美味しい野沢菜漬けが生まれるというわけなのです。
野沢温泉村の野沢菜畑が「麻畑」と呼ばれるのは、明治時代頃まで麻を栽培していたから。
麻釜も麻を茹でる湯というのが名の由来です。
健命寺 | |
名称 | 健命寺/けんめいじ |
所在地 | 長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9320 |
関連HP | 健命寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR戸狩野沢温泉駅から信州バス野沢温泉行きで19分、終点下車、徒歩6分 |
ドライブで | 上信越自動車道豊田飯山ICから約20km |
駐車場 | 野沢温泉村営駐車場(55台/無料、スキーシーズンは有料) |
問い合わせ | 健命寺 TEL:0269-85-2063/FAX:0269-85-4069 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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