長崎県西海市、西彼杵半島(にしそのぎはんとう)の北部、虚空蔵山(306.6m)の頂上に位置する展望台が、虚空蔵山展望台(こくぞうざんてんぼうだい)。展望台からは、五島列島や佐世保を一望する、ワイドなパノラマが自慢で、展望台のある山頂まで車道が通じています。
五島列島に沈む夕日、佐世保の夜景を眺望
建物のモチーフとなっているのは、害獣被害を防ぐために造られた猪垣(ししがき/長崎県指定の文化財)で、地元産出の結晶片岩を積み上げて造られたもの。
虚空蔵山展望台からは、五島列島に沈む夕日、佐世保やハウステンボスの夜景、旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設の電波塔(国の重要文化財/3基が煙突のようにそびえています)など、ドラマチックな景観が展開。
猪垣とは、西彼杵半島に多数生息するイノシシの侵入を防ぐための石垣で、江戸時代中期の徳川吉宗治世の享保年間(1716年〜1736年)に当地周辺で盛んに造られたもの。
大村藩の藩政日記『九葉実録』(くようじつろく/大村市立史料館・大村家資料)の享保七年六月二十二日の条に「瀬戸ヨリ中浦ニ至マデ石砦ヲ築キ猪鹿ヲ防ギ田園ヲ護ル」とあり、『郷村記 中浦村』(長崎歴史文化博物館蔵)に「猪留石垣之事」として「外海山近年猪鹿繁殖し田畠作毛相荒せしゆへ村中の者共申談享保七壬寅年六月より猪留石垣を造築す右普請成就の上ハ荒野にて田畠餘程出來可申筈にて當村より相始し處追々太田和七ツ釜夛以良瀬戸も同樣に造築す」との記事があることから、猪垣建設が、当時の中浦村から始まったことがわかります(西彼杵半島猪垣基点が、西海市西海町中浦北郷木場にあり、長崎県の文化財になっています)。
西彼杵半島で猪害防止のため、高さ1.5m、上幅75m、下幅1.5mの石垣で中央山地を取り囲み、延々と長さ70kmにわたり猪垣を築いています。
まるで中国にある万里の長城のミニチュア版のような様相を呈していました。
今でも山中には、その名残りを見つけることができます。
虚空蔵山展望台 | |
名称 | 虚空蔵山展望台/こくぞうざんてんぼうだい |
所在地 | 長崎県西海市西海町太田和郷 |
関連HP | 西海市公式ホームページ |
電車・バスで | 佐世保港から瀬川汽船の高速船で15分横瀬西港下船、タクシーで30分 |
ドライブで | 西彼杵道路小迎ICから約7.8km |
駐車場 | 10台/無料 |
問い合わせ | 西海市商工観光物産課 TEL:0959-37-0064 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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