長崎県新五島町、五島列島・若松島の東海岸に突出した白崎岬近くにある奥行き50m、高さ5m、幅5mの珍しいT字型洞窟がキリシタン洞窟(キリシタンワンド)。明治元年、「五島崩れ」と呼ばれるキリシタン迫害の際、里ノ浦地区の潜伏キリシタンたちが弾圧を逃れるために隠れ棲んだという洞窟です。
潜伏キリシタンが隠れ潜んだ洞窟
里ノ浦地区の潜伏キリシタン、山下与之助、山下久八、下本仙之助の3家族12人は、迫害を逃れるために、船でしか到達できないこの洞窟に隠れました。
入口が岩壁の裏側にあり、複雑な入り江であったことから格好の隠れ場所だったと推測できます。
数ヶ月たったある朝、朝食を炊く煙を、沖を通る漁船に見つかってしまい、捕縛され、算木責め(三角に削った尖った木の上に正座させ、膝の上に平石を置く拷問)などの拷問にかけられてしまいます。
命を落とすことはありませんでしたが、歩行困難になるほどの過酷な拷問だったとか。
明治6年に禁教令が解かれる直前の悲しい出来事です。
昭和42年、洞窟の入口にマリア観音と呼ぶ平和キリスト像と十字架が顕彰され公開されていますが、洞窟までは若松港から「祥福丸」などの瀬渡し船(所要10分ほど)を利用するため、前日までに予約が必要。
波穏やかな日には接岸して上陸も可能です。
洞窟までの岩場は険しいため、スニーカーなどの滑らない靴と動きやすい服装が必要。
「上五島ふるさとガイドの会」などのガイドを利用すると、洞窟内まで案内してもらえます(瀬渡し船の場合は、船長は海上で待機)。
五島列島では今でも人口の1割以上がキリスト教徒で、明治6年に禁教が解かれた後も潜伏時代の儀礼や行事を受け継ぐ「隠れキリシタン」も多いという、まさに「祈りの島」。
毎年11月、土井ノ浦教会の信者を中心に100名ほどが上陸し、ミサを行い、祈りを捧げています。
ちなみに瀬渡し船「祥福丸」の坂井好弘さんも「隠れキリシタン」で、9代目の大将(神父役)。
キリシタン洞窟近くにはハリノメンドと呼ばれる海蝕洞門(船上から見学)もあるので、あわせて見学を。
キリシタン洞窟 | |
名称 | キリシタン洞窟/きりしたんどうくつ |
所在地 | 長崎県南松浦郡新上五島町若松郷 |
関連HP | 新上五島町観光物産協会公式ホームページ |
電車・バスで | 若松港から船を利用(徒歩は不可) |
ドライブで | 若松港から船で7km |
問い合わせ | 新上五島町観光物産協会 TEL:0959-42-0964/FAX:0959-42-0967 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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