「菜の花畠に入日薄れ」 の歌詞で知られる『朧月夜』(おぼろづきよ)。高野辰之(たかのたつゆき)作詞、岡野貞一作曲の文部省唱歌ですが、作詞の高野辰之は、長野県水内郡永江村(現・中野市永江)出身。長野県飯山市の菜の花公園ではGW前後に菜の花の見頃を迎えますが、実は「野沢菜の花」なんだとか。
GWには『いいやま菜の花まつり』も開催
『朧月夜』の作詞者・高野辰之の故郷である中野周辺でゴールデンウィーク前後に咲く菜の花は、現在では野沢菜の花。
飯山市の菜の花公園でも例年5月3日〜5日に『いいやま菜の花まつり』が開催され、「菜の花畠に入日薄れの情景がそのままに残る」とPRされています。
高野辰之は、明治30年、尋常師範学校(現在の信州大学教育学部)を卒業、飯山の高等小学校の教員として赴任していますが、この北信濃の春の田園風景を表したのが『朧月夜』ということに。
信州いいやま観光局の解説では、「野沢菜は漬物用としてなら11月頃に収穫してしまいますが、そのまま越冬して春になると菜の花が咲きます」とのことで、例年6月になると、菜の花の種を収穫(例年4tが長野県育苗組合に販売)、飯山の種から育った野沢菜が、長野県や群馬県で野沢菜漬けに加工されているのだとか。
ところが、『朧月夜』に歌われる菜の花は、「光景こそ似ているものの実は別の菜の花」なんだとか。
答えは時代を反映して菜種油を搾るための菜の花の畑。
飯山市や中野市周辺は、江戸時代からアブラナの栽培地で、とくに信濃川の河畔などにはその畑が広がっていたのです。
晩春の季語にもなっている「菜の花」とは、食用のナバナで、野沢菜の花でもなく、この菜種油用のアブラナ。
「なの花にうしろ下りの住居かな」という一茶の句も当然アブラナです。
このアブラナ、戦後には菜種油の需要が激減し、栽培されなくなりましたが、それに代わって植栽されたのが野沢菜ということになります。
菜の花の種類は代わっても風景は変わらないのが、飯山市の菜の花公園というわけです。
「菜の花畠に入日薄れ」 の信州・飯山の葉の花は、野沢菜の花!? | |
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