大阪府南河内郡河南町(かなんちょう)にある6世紀中頃〜7世紀前半にかけて築造された大阪府内でも有数の群集墳が、一須賀古墳群(いちすかこふんぐん)。一帯は大阪府立の近つ飛鳥風土記の丘として整備され、「近つ飛鳥博物館」が建っています。
渡来系氏族の集団墓と推測される群集墳
八尾市の高安古墳群、柏原市の平尾山古墳群とともに、大阪府における三大群集墳のひとつに数えられるのが、一須賀古墳群。
古墳は丘陵の尾根ごとに十数基ずつほどが「支群」と呼ばれるグループを形成しており、一須賀古墳群には23支群が確認されています。
北側にある磯長谷古墳群(しながだにこふんぐん)が、宮内庁から治定されている天皇陵4基(敏達天皇陵、用明天皇陵、推古天皇陵、孝徳天皇陵)と、聖徳太子墓など30基からなる王陵群で、そうした「王陵の谷」と強い結び付きが想定されることから、朝鮮半島からもたらされた新しい技術力を背景に、有力氏族が掌握した渡来系氏族の集団墓と推測されています。
一須賀古墳群には、円墳・方墳102基など23支群・総数262基の古墳が確認され、直径15m前後の円墳のうち40基が保存整備され、自然のままの姿の横穴式石室を見学することが可能。
玄室の床面が羨道部(えんどうぶ=玄室と外部とを結ぶ通路)の床面よりも低い構造で、朝鮮半島の影響を受けたと見られる構造の横穴式古墳であることからも渡来系氏族の集団墓を裏付けています。
古墳以外にも須恵器窯跡(現在は保存のために埋められています)などもあり、散策する場合には、歩きやすい服装で。
各古墳には案内板があり、築造の時期、出土品なども解説されています。
出土した副葬品は、須恵器、土師器(はじき)、純金製耳環、ガラス玉、金銅製冠片、金銅製履片、金銅装単龍環頭大刀柄頭片、馬具、環状金具、鉄刀、鉄刀子などで、渡来系のものも多数含まれています。
一須賀古墳群 | |
名称 | 一須賀古墳群/いちすかこふんぐん |
所在地 | 大阪府南河内郡河南町大宝 |
関連HP | 近つ飛鳥博物館公式ホームページ |
電車・バスで | 近鉄長野線喜志駅、または、富田林駅から金剛バスで近つ飛鳥博物館前下車 |
ドライブで | 南阪奈道路太子ICから約4km、羽曳野東ICから約6km |
駐車場 | 博物館駐車場(80台/無料)・風土記の丘駐車場(30台/無料) |
問い合わせ | 近つ飛鳥博物館 TEL:0721-93-8321/FAX:0721−93−8325 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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