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日本にも永久凍土が! 知床・サシルイ岳で永久凍土発見 

温暖化による東シベリアの永久凍土の融解が話題になっていますが、実は日本国内にも永久凍土が存在します。これまでに確認されているのは北海道・大雪山と、富士山の山頂部、北アルプスの立山です。そして新たに見つかったのが世界自然遺産・知床半島のサシルイ岳(1564m)の山頂部です。

富士山、立山、大雪山、サシルイ岳に永久凍土が!

知床の主峰・羅臼岳から眺めた知床連山、手前の山がサシルイ岳

永久凍土(permafrost)は、緯度や標高の高い寒冷な地域で、複数年(2年以上)連続して地中温度が0度以下の土壌。
冬季には0°C以下になり地表層が凍結するものの、夏季にはその凍結部分がすべて融解するような場所は、「季節凍土」と呼び分けています。

地球全体では、現在は間氷期にあたり(氷期と間氷期が約10万年の周期で繰り返しています)、直近の氷期で最も寒冷だったのが2万年前頃(最終氷期)になり、過去2万年間は現在よりも気候が寒冷だったことを考慮すると、現在の永久凍土は、少なくとも2万年程度は凍結し続けていると推測されています。

そんな永久凍土ですが、日本国内には、富士山の山頂部、大雪山系の白雲岳、五色岳などの山頂部で、気温が低く、強風のため雪が積もりにくく(風衝地)、灌木類があまり生えていない場所。
つまりは土がむき出しの場所(雪や植物は、地面を空気の冷たさから遮断する役割を持つため、地表を覆うものがない場所のほうが、地中の温度が下がりやすくなります)。

北見工業大の大野浩准教授(雪氷学)は、知床・サシルイ岳山頂付近における6年にわたる調査結果から、2024年9月に永久凍土があることを確認しています(埋めた温度計がヒグマとみられる野生動物に掘り起こされるというトラブルも経験)。

富士山の永久凍土は、1975年~1976年に行なわれた調査では、山頂から標高3100m付近まで広がっていることが確認されていますが、1998年8月に静岡大学と国立極地研究所が行なった調査では、永久凍土が3200m以上の地点でないと存在しなくなるなど減少。
さらに2007年〜2010年の調査では、連続していた永久凍土の広がりが消えて、部分的に確認できたうちの最も低い地点でも標高3500m〜3600mとなるまで減少しています。

環境省によれば「統計開始の1933年以降、富士山では100年あたりの年平均気温が1.2℃上昇しており、日本の平均気温の上昇と同程度になっています」とのことで、永久凍土の溶解が進み、同時に森林限界(森林の生育が不可能となる限界高度)が上昇するという異変が現れています。

世界自然遺産に登録される知床も、登録の理由は「流氷がもたらす生態系」ということで、温暖化の進行でその生態系の維持にも黄信号が灯っています。
サシルイ岳の凍土の溶解が進むような状況が生まれれば、知床の自然にも大きな危機が訪れることになると危惧されています。

凍土の溶解は、遠いシベリアだけの問題ではなく、実は、富士山、立山、大雪山、サシルイ岳でも始まっているのです。

大雪山・白雲岳の火口部などで永久凍土が
日本にも永久凍土が! 知床・サシルイ岳で永久凍土発見 
所在地 北海道目梨郡羅臼町海岸町
場所 サシルイ岳
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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