埼玉県川越市、川越氷川神社の裏手に流れる新河岸川には川沿い500mにわたって桜が植栽され、新河岸川の桜並木と通称されるお花見スポットになっています。昭和32年、地元の老舗芋菓子店「亀屋栄泉」19代目当主が、戦没者慰霊のために200本余の桜の苗を寄贈したことに始まり、誉桜(ほまれざくら)と呼ばれています。
美しい桜並木には悲しい歴史が
「亀屋栄泉」19代目当主・中島良輔(なかじまりょうすけ)は、第二次世界大戦で戦地に出征していったふたりの息子の武運を祈り、無事に帰還した際には桜を植えて祝おうと、戦時下に苗木を農家に発注。
祈りも虚しくふたりの息子は帰らぬ人となってしまいましたが、戦地で散った多くの兵士たちの慰霊にと、鎮魂に桜200本を寄贈し、誉桜(ほまれざくら)と名付けたのです。
初雁中学の生徒が、田谷堰から本丸御殿そばまで植栽。
現在残される当初の桜は数十本とのことです。
氷川神社本殿北側には、 「北の里 誉桜に 足をとめ」 の句碑も建立されています。
全国の桜の名所は、日露戦争の戦勝記念に植栽したものが多く、兵士たちの慰霊と鎮魂は少し異例。
当初は、満開の桜で出征した息子たちを出迎えようと「戦勝桜」と命名すべく、苗木を発注していました。
秘められた悲しい歴史を感じながら散策しましょう。
ちなみに新河岸川は、江戸時代、川越藩主・松平信綱が、江戸と川越を結ぶ舟運ルートとして改修した河川で、舟運は江戸時代末期から明治時代初めに隆盛(川越を午後に出立し、翌朝に千住に到着する夜行旅客便「川越夜舟」もありました)。
入間川(笹井堰)からの水田用水を水源とする赤間川が川越で新河岸川と名を変え、東京都北区の岩淵水門先で隅田川に合流しています。
名称 | 新河岸川の桜並木/しんがしがわのさくらなみき |
所在地 | 埼玉県川越市氷川町 |
電車・バスで | 西武本川越駅から徒歩20分 |
ドライブで | 関越自動車道川越ICから約6km |
駐車場 | 周辺の有料駐車場を利用 |
問い合わせ | 川越市川越駅観光案内所 TEL:049-222-5556 |
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