埼玉県秩父市上影森、秩父鉄道・浦山口駅から徒歩15分の地にある石灰岩の大岩壁の下に建つのが、曹洞宗の寺、橋立堂(秩父三十四所観音霊場・札所28番)。石段を上がった先、そそり立つ大岩壁(高さ75m)の基部に三間四面、観音堂があり、観音堂の横には橋立堂(鍾乳洞)が穴を開けています。
南洋の海のサンゴ礁が、巨大な岩壁に!
武甲山の西端にある石灰岩の岩壁の下に建つ、橋立堂。
本尊の馬頭観世音は鎌倉時代の作といわれ、橋立鍾乳洞があることから、巡礼者たちには「胎内くぐりの霊場」と親しまれてきたのです。
2億年前、5000km以上も離れた南海の火山島周囲に成長したサンゴ礁が、海洋プレートとともに移動し、海溝で大陸プレートに押し付けられ、隆起してカルスト地形を形成。
岩壁の下部は秩父市の史跡・橋立岩陰遺跡で、縄文時代からの遺物が発掘されています。
馬頭観世音を本尊とする観音霊場は、日本百番観音霊場(西国三十三所・坂東三十三所・秩父三十四所)のなかでも、西国三十三所第29番・青葉山松尾寺と橋立堂の2ヶ所のみ。
馬を農耕に使い、馬が唯一の交通手段だった時代に、馬は生活の一部として家族のように大切にされていました。
本堂右手にある馬堂には、左甚五郎(ひだりじんごろう)作と伝わる馬の木像2基が安置され、本堂には馬が描かれた絵馬が奉納され、往時を偲ばせています。
縁日には馬を引いて参詣する人で参道は大賑わいだったと伝えられています。
今もその伝統で、交通安全祈願の参詣者も多いのですが、近年はペットの健康祈願、競馬の必勝祈願も増えているとか。
冬期期間(12月上旬~2月末)の御朱印は、札所27番大渕寺で受付。
「札所28番橋立堂の石灰岩体と橋立鍾乳洞」として秩父ジオパークのジオサイトにもなっています。
広重・国定作 『観音霊験記 秩父順礼』二拾八番 橋立 石竜山橋立寺 郡司報蛇身
2代広重と初代の国定の合作となる『観音霊験記 秩父順礼』で、石竜山橋立寺は広重の担当。
霊験記とは、文字通り、観音様のありがたい霊妙な感応、御利益(ごりやく)などを記したもので、当時の宣伝材料。
橋立堂のある村で、その昔、悪を尽くしていた領主の郡司(ぐんじ)という者が、生前に行なった功徳により無間地獄行きをなんとか免れていましたが、蛇身の報を受けて娑婆(しゃば)に現れるとのことで、冥界の役人たちは死んだ村人を蘇らせ、里人たちに知らせるよう告げます。
すると悪龍が現れて、人や馬を喰らうので、村人は橋立堂に除災を祈念したところ、橋立堂から白馬が出現、悪龍がこの馬を飲み込み、たちまちに石に変わったのです。
その石は今も橋立洞のなかにあり、石竜山という山号はこの霊験から生まれ、寺の奥の院は、屹立する岩壁だとしています。
秩父三十四所観音霊場 霊場間の距離・時間
27番札所・大淵寺(埼玉県秩父市上影森411)— (1.7km/徒歩25分) —28番札所・橋立堂(埼玉県秩父市上影森675)— (2.0km/徒歩30分) — 29番札所・長泉院(埼玉県秩父市荒川上田野557)
注/深山部(札所21番~34番)の徒歩巡礼は大雨などの後は歩行困難な場合があるので注意が必要
橋立堂(秩父三十四所観音霊場・札所28番) | |
名称 | 橋立堂(秩父三十四所観音霊場・札所28番)/はしだてどう |
所在地 | 埼玉県秩父市上影森675 |
関連HP | 秩父札所三十四観音霊場秩父札所連合会公式ホームページ |
電車・バスで | 秩父鉄道浦山口駅から徒歩15分 |
ドライブで | 関越自動車道花園ICから約14km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | 橋立堂 TEL:0494-24-5399 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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