鹿児島のシンボルともいえる桜島。その活発な火山活動は、鹿児島湾北部の地形を形成する姶良カルデラ(あいらかるでら)から供給されるマグマ。桜島の地下ではマグマの蓄積が進み、大正3年(1914年)の大噴火で失ったマグマの9割が回復した状況にあるのだとか。
過去の発生間隔は135年ですでに111年が経過
大正3年の大噴火では、それまで離島だった桜島が溶岩流の流出で大隅半島と陸続きに。
昭和21年には、昭和火口から溶岩が流出し、その9年後の昭和30年からは南岳の噴火活動が繰り返されています(その噴火回数も8000回近くにのぼります)。
平成18年に再開した昭和火口の噴火では平成21年以降、噴火の発生頻度が増え続けており、気象庁や研究者は「桜島の火山活動は新たな局面を迎えている」と警戒を呼びかけています。
大正噴火以降、姶良カルデラ一帯の地盤は長期的に隆起を続けています。
昭和21年の昭和火口からの溶岩流出、そして昭和49年〜平成4年にかけての南岳の爆発活動で2億立法のマグマが放出されたと推測され、一時的に隆起が停滞していますが、平成5年からは姶良カルデラの再隆起が始まっており、今後の噴火活動の活発化への警戒が必要となっています。
桜島の噴火活動のシナリオとしては、
(1)南岳の噴火活動の繰り返しへの回帰
(2)昭和火口における噴火活動の活発化を経て溶岩流出
(3)大正噴火級両山腹噴火
の3パターンが想定されています。
姶良カルデラへは年間1000万立法メートルものマグマが供給されていると推測され、供給率を考慮すると200年のマグマ蓄積で大正大噴火並みの大噴火が起こると想定されているのです。
安永大噴火から大正大噴火の発生間隔135年を考慮すると、すでに111年が経過しているので、9割ほどのマグマが蓄積されているだろうと推測でき、大規模両山腹噴火への備えが必要ということになります。
大正大噴火でも噴火の1ヶ月~2ヶ月前から桜島の一部集落で井戸水の水位が低下、直前には地震が頻発、海岸から熱湯噴出などの兆候があったので、突然の大爆発というよりも何らかの兆候はあるものとされ、観光的には兆候が出るまでは通常通りに見学、滞在が可能ということになります。
大爆発では短時間に大量のマグマを噴出するため、山腹に新たに噴火口をいくつも作る必要があり、そのための地震や地殻変動(地割れや噴気などの異変)が現れます。
大正の大噴火など過去の大噴火では、有感地震が20~30時間前に始まっています。
こうした点を理解して、安全、安心に観光を楽しむのがおすすめです。
有感地震が始まったら必ず大地震が始まるわけではありませんが(実際に昭和43年には有感地震が頻発、避難した人もいましたが噴火は起きませんでした)、頭に入れておくことは重要です。
歴史に残る(中世〜現代)桜島の噴火
年代 | 噴火の形態 | 噴火の経過と被害 |
文明3年~文明8年 (1471年~1476) | 文明大噴火 (マグマ噴火) | 噴火場所は北岳北東山腹および南岳南西山腹 黒神方面、島の北東側に溶岩流出 噴石、降灰、死者多数、埋没家屋多数 |
安永8年~天明元年 (1779年~1782年) | 安永大噴火 (マグマ噴火) | 噴火場所は(南岳山頂)、南岳南山腹、 北岳の北東山腹から北東沖合の海底 溶岩を流出、海底噴火もあり、津波が発生 桜島北東海中に小島が出現(4島が現存) 死者150余名 |
大正3年 1914年 | 大正大噴火 (マグマ噴火) | 噴火場所は南岳西および東山腹 溶岩流が瀬戸海峡を閉塞 降灰は仙台に達するほど マグニチュード7.1の強震が発生 噴火による死者58名、負傷者112名 |
昭和21年 1946年 | 昭和噴火(中規模) (マグマ噴火) | 噴火場所は昭和火口 溶岩が黒神海岸、有村海岸にまで流出 死者1名 |
昭和30年 1955年 | ブルカノ式噴火 | 噴火場所は南岳山頂 死者1名、負傷者7名 降灰多量 |
桜島に噴火の危険が!? 大正大噴火直前の9割近くまでマグマがたまっている! | |
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