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九州に世界遺産登録の古墳が! それが新原・奴山古墳群

新原・奴山古墳群新原・奴山古墳群

世界文化遺産に登録される古墳というと大阪府の大王墓などで構成される「百舌鳥・古市古墳群」を思い浮かべますが、九州、福岡県福津市にも世界文化遺産に登録される古墳群があります。それが世界文化遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の構成資産のひとつ、新原・奴山古墳群(しんばる・ぬやまこふんぐん)です。

古墳が世界遺産に登録された国内最初の例

世界文化遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、平成29年7月に登録された日本国内21番目となる世界遺産。
実は、古墳が世界遺産に登録された国内最初の例でもあるのです。

英語表記では、「Sacred Island of Okinoshima and Associated Sites in the Munakata Region」となり、宗像三女神(むなかたさんじょしん)を祀る宗像大社信仰など、4世紀以来現代まで継承されている自然崇拝を元とする固有の信仰・祭祀が世界遺産として認められたもの。
「神宿る」はSacredと英訳していますが、Shintorism(神道)ではなく、自然崇拝に由来する信仰、つまりはユネスコが重視した「自然崇拝に基づく古代からの聖地」ということに。

新原・奴山古墳群は、玄界灘を支配した古代の豪族・宗像氏(むなかたし)の墳墓。
宗像氏は、宗像大宮司を務め、ヤマト王権と大陸との中継点(対馬を経て朝鮮半島へと繋がる「海北道中」)を担っていました。
つまり、宗像氏が祀った宗像三女神は、航海安全の女神ということになります。

玄界灘に浮かぶ「海北道中」の島々には、沖ノ島=沖津宮、筑前大島=中津宮を配し、陸側の宗像田島には辺津宮を祀っています。
当然、ヤマト王権もこの宗像三女神を尊崇したと考えられ、『古事記』、『日本書紀』などにもその由来が記されているのです。

新原・奴山古墳群は、5世紀後半~6世紀後半の古墳時代中期後半の造営。
前方後円墳5基(1号墳は方墳部分を消失)、方墳1基(7号墳)、円墳41基が現存しています。
ヤマト王権の大王のような巨大な墳丘はなく、最大の24号墳(5世紀前半の造営)でも墳丘長54mの前方後円墳です。

入海に突き出た位置に7号墳は、宗像地域では唯一の方墳で、沖ノ島祭祀と共通する鉄斧が出土しています。

沖ノ島へと続く海を一望にする台地上に築かれた古墳群に眠る古代豪族・宗像氏が、古代に朝鮮半島との海上交通を担い、沖ノ島祭祀を行なったということで、世界文化遺産の構成資産になっているのです。

古墳の周濠なども往時のままに残され、開発も進んでいないので、歴史散策にも最適。

九州に世界遺産登録の古墳が! それが新原・奴山古墳群
名称 新原・奴山古墳群/しんばる・ぬやまこふんぐん
所在地 福岡県福津市奴山
関連HP 福津市公式ホームページ
電車・バスで JR福間駅から西鉄バスJR東郷駅行き25分、奴山口下車徒歩15分
駐車場 あり/無料
問い合わせ 福津市文化財課 TEL:0940-43-8134/FAX:0940-43-9004
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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