静岡県静岡市清水区、東海道江尻宿(現在の静岡市清水)のはずれ、久能山へと至る久能道との追分(分岐)に店を構える老舗が、追分羊かん本店。元禄8年(1695年)創業という東海道屈指の老舗で、街道時代からの名物「追分羊羹」(追分羊かん)を今も製造販売しています。
参勤交代の大名も買い求めた街道名物の羊かん
初代・府川新助は、製糖業(当時、清水周辺では甘藷の栽培が行なわれていました)を営んでいましたが、東海道・箱根山中で倒れた明国(現在の中国)の僧を助けた折、伝授されたのが蒸し羊羹の製造法。
現在でも昔ながらの製法で、北海道産の小豆のあんに餅米を混ぜ、ねっとりとした独特の舌触りが自慢。
竹の皮に包んで蒸すのは、殺菌効果と同時に竹の香りが羊羹に移って風味も増すから。
15代将軍・徳川慶喜もお気に入りだった逸品で、「静中観物化」(せいちゅうかんぶっか)と慶喜が記した掛け軸も残されています。
明治維新後、徳川慶喜は静岡の紺屋町にあった代官屋敷で暮らし、11代当主・府川佐太郎の元へしばしば羊羹を食べに来たのだという。
隠居時代の気持ちを記した「静中観物化」は、明治9年の作。
「追分羊かん」のほか、「きざみ栗羊かん」、「まるちゃん絵入り追分羊かん」、「まるちゃん絵入りきざみ栗羊かん」などがあり、店では羊かんの試食と茶のサービスも(セルフサービス)。
漫画「ちびまる子ちゃん」単行本4巻の表紙に本追分羊かん本店が描かれるのは、さくらももこも愛した羊かんだから。
本追分羊かん本店のほかに本追分羊かん大曲店もあります。
追分羊かんの建つ追分は、久能山東照宮への久能道を分けるだけでなく、東海道と清水湊を結ぶ道の分岐にもなっていて、街道時代の一等地。
追分羊かん(江尻宿名物追分羊羹)は、日本遺産「日本初『旅ブーム』」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~」の構成資産にもなっています。
追分羊かん本店 | |
名称 | 追分羊かん本店/おいわけようかんほんてん |
所在地 | 静岡県静岡市清水区追分2-13-21 |
関連HP | 追分羊かん本店公式ホームページ |
電車・バスで | JR清水駅からバスで15分、渋川下車、徒歩5分 |
ドライブで | 東名高速道路清水ICから約3.5km |
駐車場 | 6台/無料 |
問い合わせ | 追分羊かん本店 TEL:054-366-3257/FAX:054-366-3259 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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