静岡県牧之原市西萩間(にしはぎま)にある曹洞宗の寺、大興寺(だいこうじ)。そこにあるのが遠州七不思議のひとつ、大興寺子生れ石。地質学的にはノジュールという砂岩ですが、あたかも親岩が子供を産むように、岩肌から石が生まれるので、「子生れ石」伝説が生まれたのです。
崖から落ちるまゆ型の石
室町時代に大徹宗令(だいてつそうれい/総持寺8世)禅師によって開かれた寺で、曹洞宗大本山總持寺(現・横浜市鶴見区)の末寺。
遠州七不思議のひとつに数えられる「子生れ石」伝説は、代々の住職が亡くなる時、寺の裏を流れる萩間川の崖から、まゆの形をした無縫石が削られて川に落ちる、という不思議な現象で、岩から生まれ落ちた石は、歴代の住職の墓石とする習わしになっています。
この現象は、開山以来、現在に至るまで29代続いており、竹やぶにはこのまゆ型をした墓石(無縫塔・むほうとう)が並び、「大興寺の無縫塔」という名称で牧之原市の名勝に指定。
近くには「さがら子生まれ温泉会館」もあり、日帰り入浴が可能です。
子生まれ石誕生のメカニズムとは!?
子生まれ石は実は牧之原市相良地区だけの現象ではありません。
三浦半島の神奈川県三浦郡葉山町下山口にも「子産石」があり、横須賀市の秋谷海岸でも探せばたくさん見つかります。
岩肌から子供が産まれるように丸い石が抜け落ちてくるものですが、ベースとなるのは砂岩の崖。
砂が堆積して砂岩となる過程で、内部に石灰質の核となるものを含む場合に、周囲の砂が石灰質の核を中心にタマネギ状に練り固まります。
浸食や風化の過程で球状の石となった固まりの周囲の柔らかい砂岩層だけが剥離(はくり)するので、岩肌から石が生まれるという不思議な現象が起こるのです。
大興寺の場合も裏を流れる萩間川に行けばその発生のプロセスを垣間見ることができるでしょう。
ひとつの石が生まれるのに数十年という時間がかかるため丁度、住職の寿命と一致したこと、温かい土地柄で代々の住職が長生きだったこと、曹洞宗の教えで華美な墓は不要と考えたことが伝説を生んだのだと推測できます。
大興寺 子生れ石 | |
名称 | 大興寺 子生れ石/だいこうじ こうまれいし |
所在地 | 静岡県牧之原市西萩間426 |
関連HP | 牧之原市公式ホームページ |
電車・バスで | JR金谷駅から静鉄バス相良営業所行きで30分、大興寺前下車、徒歩15分 |
ドライブで | 東名高速道路相良牧之原ICから約5km |
駐車場 | 100台/無料 |
問い合わせ | 大興寺 TEL:0548-54-0031/牧之原市商工観光課 TEL:0548-53-2623 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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