静岡県賀茂郡松崎町、松崎観光協会近くの80mほどの細い通りが、なまこ壁通り。薬問屋だった近藤家の本宅(薬学博士で、日本薬剤師会会長を務めた近藤平三郎の生家)と倉庫がなまこ壁仕上げになっているもの。壁の脇に石畳の道も通っていることから、絶好の記念撮影スポットとなっています。
伊豆松崎のシンボルストリート
なまこ壁は、四角い平瓦を斜めに並べ、その継ぎ目を漆喰(しっくい)でかまぼこ状に盛り上げてつなぎあわせたもの。
なまこ壁は、入江長八に代表される鏝絵(こてえ=漆喰細工)と同様に左官職人が施す漆喰装飾のひとつ。
漆喰は高価な物なので、盛り上がりが大きいほど贅沢ということに。
松崎には今も190棟ほどのなまこ壁の家屋が残っており、風情ある町並みを作り上げています。
防火、保温、防湿を目的とするなまこ壁ですが、そのデザインも職人の腕の見せどころ。
なまこ壁の漆喰目地は、実際よりも高く盛り上がって見えるようにすると美しく、四角が中途半端に切れないのが芸術的。
そんな視点でなまこ壁ウォッチングを楽しみましょう。
松崎町では、素晴らしい左官文化を後世に伝えるため、左官技術の保全、後継者育成を目的に、公共施設などに実際になまこ壁を施工する「なまこ壁技術伝承事業」が行なわれています。
松崎が生んだ近藤平三郎とは!?
明治10年、薬種商を営む近藤平八郎(日本薬学会の名誉会員)の長男として伊豆・松崎中宿通りに生誕。
4歳2ヶ月で、松崎小学校へ入学、4年間の小学校過程終了後、蓮台寺にあった豆南高等小学校へ入学し、寮生活を送っています。
その後、父・近藤平八郎と依田善吾(明治15年、帯広開拓晩成社副社長に就任し、帯広の発展に尽力、明治35年帰郷、松崎水力電気社長に就任)と出資して造った蒸気船「松崎丸」(沼津~西伊豆〜下田に就航)で上京、東京・神田のドイツ語学校へ入学し、ドイツ語を学んだ後に、明治30年、東京帝国大学医科薬学科に入学。
私費でドイツ留学後、親友・塩野義三郎(シオノギ薬品の創立者)の資金援助を受け、東京・青山に「乙卯研究所」を設立。
植物からアルカロイドを分離し、その構造式を明らかにし、薬品や麻酔技術の発展に貢献しています。
なまこ壁通り | |
名称 | なまこ壁通り/なまこかべどおり |
所在地 | 静岡県賀茂郡松崎町松崎216-1 |
関連HP | 松崎町観光協会公式ホームページ |
電車・バスで | 伊豆急行線蓮台寺駅から東海バス堂ヶ島方面行きで40分、松崎下車、徒歩15分 |
ドライブで | 伊豆縦貫自動車道大平ICから約48km |
駐車場 | 8台/無料 |
問い合わせ | 松崎町観光協会 TEL:0558-42-0745 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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