平成15年に火山噴火予知連絡会は、 「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」 を活火山と定義し直しました。 実はこれによって平成23年6月、2火山が追加され日本国内の活火山は、108から110に増えたのです。つまり気象庁認定の日本最後の活火山が天頂山ということに。
平成23年6月7日、北海道内の3火山が活火山に認定
突然、活火山が増えるなんてとお思いの方も多いかと。
平成23年6月7日の気象庁の報道発表によれば、
「北海道内の3火山(天頂山(てんちょうざん)、雄阿寒岳(おあかんだけ)、風不死岳(ふっぷしだけ))について、過去1万年以内に噴火していたことが判明しました。天頂山と雄阿寒岳については、単独峰として新たな活火山に選定します。風不死岳については、樽前山に隣接していることから、樽前山に含めます。」
こうして日本の活火山は110になったのですが、注目はこの天頂山です。知床連山にはこれまで知床硫黄山、羅臼岳が活火山の認定を受けています。天頂山は、知床の主峰・羅臼岳と知床峠(知床横断道路)を挟んで反対側にそびえる標高1046mのピークです。
世間ではさほど注目されていない話題ですが、実は知床のナチュラリストの間では、かなりホットな話題だったのです。
なぜなら、知床を目ざすトレッカーの聖地ともいえる「羅臼湖」ですが、その羅臼湖も実は3000年ほど前の天頂山の爆発によって生じた溶岩流で誕生したからです。
このことは、羅臼湖トレッキングをガイドする知床ガイド協会加盟のガイドならみんな承知していること。自明の理というわけなのです。ガイドの言葉を借りれば、「ようやく活火山に認めたか・・・」くらいのことでしょう。
「忘れ去られた活火山」というのが正解なのかも知れません。
国土地理院の2万5000分の1地形図をじっくり見ると、山頂の南側、尾根沿いに北東から南西方向に並んだ凹地(一部は水を湛えています)の列があります。これが延長1800mにも及ぶ火口列で、水色に水がたまっているのは火口湖です。気象庁によれば「火口列は直径250m以下の爆裂火口が15個以上重合したもの」なのだとか。
最近の爆発は、約1900年前の水蒸気爆発で、これによって現在の火口列が生まれたようです。降下火砕物も羅臼湖のトレッキングコース(羅臼湖歩道)では5mにも及んでいますから、現在の湿原や湖沼もこの時の噴火が大きく影響していると考えられます。
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