サイトアイコン ニッポン旅マガジン

「トキと共生する佐渡の里山」が世界農業遺産に!

トキと共生する佐渡の里山

トキは、日本では野生種は絶滅していますが、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、台湾も同様に絶滅。ロシアでも絶滅したと推測されています。現在、野生種が生き残るのは中国のみ。日本では、新潟県佐渡ヶ島に353羽(2018年8月24日時点)が生息していますが、これは人工繁殖で、「トキと共生する佐渡の里山」という生態系が維持されています。

かつては日本中に生息したトキ

江戸時代にはトキは身近な存在で、イネを踏み荒らす害鳥として害鳥扱いされていたほど。
美しい羽根や肉を目的として乱獲され、羽根は羽根ほうき、布団などに使われていました。

明治以降、乱獲やねぐらとなる森の伐採でトキの生息数が減少。
明治41年、明治政府の「狩猟に関する規則」で保護鳥となりました。
それでも大正11年に日本鳥学会編集の『日本鳥類目録』によれば、北海道、本州、伊豆七島、四国、九州、沖縄と日本全国に生息していたのです。
その後、わずか数年で状況は激変。
米どころの新潟県でさえ、昭和元年頃には姿を見かけなくなっていたのです(トキの発見に懸賞が懸けられるほど激減)。
昭和7年に新潟県でトキの捕獲が禁止され、昭和9年に天然記念物、さらに昭和27年に特別天然記念物に指定されましたが、時すでに遅しでした。

日本のトキは乱獲や農薬使用、開発などによってその姿を急激に減らし、高度成長の真っ只中の昭和40年代には、佐渡と登半島の一部だけに生息するという状況にまでトキを追いやってしまっていたのです。

最後のトキとなった「キン」佐渡で死んだのは平成15年10月10日。
この時に日本産のトキは絶滅したのです。

佐渡では、「朱鷺と暮らす郷づくり」 が進行中!

岩首昇竜棚田
小倉千枚田

佐渡ヶ島では、並行して平成11年に中国から贈呈されたペアや、その後、中国から譲り受けたトキたちを使って増殖させ、訓練を経て放鳥。
今では353羽(2018年8月24日時点)のトキが佐渡の田園に戻ってきています。
そのために佐渡では、トキの生育環境を守るため、農薬や化学肥料を削減、さらに水田とその周囲に生きもののための生息環境を作り出す農法(魚道、ビオトープ)
に取り組んでいます。
佐渡市では、「朱鷺と暮らす郷づくり」 が積極的に行なわれ、独自農法による佐渡産コシヒカリのブランド「朱鷺と暮らす郷」が生産されています。

こうした取り組みは、「トキと共生する佐渡の里山」として「世界農業遺産」(GIAHS)にも認定されています。

「朱鷺と暮らす郷づくり 認証制度」

1. 「生きものを育む農法」により栽培されたものであること。
2. 生きもの調査を年2回実施していること。
3. 農薬・化学肥料を減らして(地域慣行比5割以上削減)栽培された米であること。
4. 水田畦畔等に除草剤を散布していない水田で栽培されたこと。
5. 栽培者がエコファーマー(土壌診断に基づいた土作り技術、化学農業・科学肥料低減技術計画を新潟県から認定された安全・安心な農業を実践する農業者)の認定を受けていること。
6. 佐渡で栽培された米であること。
 

佐渡の魅力(2)トキの森公園でトキに対面!

2018年9月5日

トキの森公園

2018年6月10日

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!

モバイルバージョンを終了