「塔博士」、「耐震構造の父」と呼ばれるのが建築構造技術者・内藤多仲(ないとうたちゅう)。その内藤多仲が昭和29年に完成した名古屋テレビ塔(国の登録有形文化財)を皮切りに、全国6ヶ所に築いた塔(タワー)が、「タワー6兄弟」。名古屋テレビ塔の開業時には東洋一の高さを誇る高層建築物でした。ちなみに東京タワーは5男坊です。
高度成長時代に建設された6つの塔
内藤多仲は、明治19年6月12日、山梨県中巨摩郡榊村(現・南アルプス市曲輪田)に生誕。
旧制甲府中学(現・山梨県立甲府第一高等学校)、第一高等学校を経て東京帝国大学(現・東京大学)卒業。
大阪商船神戸支店(現・商船三井ビルディング/大正10年)、早稲田大学大隈記念講堂(大隈講堂/国の重要文化財/昭和2年)、明治生命館(国の重要文化財/昭和5年)、大丸百貨店心斎橋店(昭和8年)などの構造設計を担当しています。
タワー(電波塔)は、テレビ時代の幕開けを背景に、昭和29年の名古屋テレビ塔(国の登録有形文化財)を最初に、昭和31年に2代目通天閣(国の登録有形文化財)、別府タワー(国の登録有形文化財)、昭和32年にさっぽろテレビ塔、昭和33年・東京タワー(国の登録有形文化財)、そして最後に昭和38年・博多ポートタワーを設計しています。
つまり、「タワー6兄弟」のうち、長男が名古屋テレビ塔、末っ子が博多ポートタワーということに。
長男:名古屋テレビ塔(昭和29年竣工)
久屋大通公園に建つ日本で最初の電波塔。高さ180m。
塔の直下に地下鉄を通すことが決まっていたため、4つの脚は深さ6mまでしか掘り込まれておらず、鉄筋コンクリートのアーチで結合しています。
国の登録有形文化財。
次男:通天閣(昭和31年)
新世界中心部に建つのが2代目となる通天閣。高さ108m。
公式キャラクターの「ビリケン」で有名で、5階(展望台)には黄金のビリケン神殿も。
国の登録有形文化財。
3男:別府タワー(昭和31年)
別府市の海岸近くにある観光塔。高さ90m。
別府温泉観光産業大博覧会の目玉施設として建設が構想されましたが、資金難などで、開幕に間に合わないというエピソードも。
国の登録有形文化財。
4男:さっぽろテレビ塔(昭和32年)
札幌の大通公園内にそびえる電波塔。高さ147.2m。
松下電器産業(現・パナソニック)の電光時計は今も発光ダイオード製となって健在。
5男:東京タワー(昭和33年)
港区芝公園にある電波塔で、今も東京のランドマーク。高さ333m。
黄赤色(インターナショナルオレンジ)と白色を交互に配した塗装は、航空機の安全航行を目的とする昼間障害標識のため。
国の登録有形文化財。
6男:博多ポートタワー(昭和39年)
博多港・ベイサイドプレイス博多埠頭にある観光塔。100m。
博多パラダイス(廃業)のメイン施設として建設。
タワー1階部分に博多港ベイサイドミュージアムが開館。
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