北前船の寄港地である日本海側の各湊(各港)には、金刀比羅社が建つことが多いのですが、富山県富山市、神通川河口の東岩瀬地区に鎮座する金刀比羅社もそのひとつ。創建は江戸時代後期の文政3年(1820年)で、当時は神仏習合で栄えていた讃州(現・香川県)の象頭山(ぞうずさん)・ 金毘羅大権現を勧請したもの。
北前船で栄えた東岩瀬の歴史を今に伝える社
明治の神仏分離で、現在では祟徳天皇(すとくてんのう)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祀っています。
当初は神通川の川州の網干場(現在の富山市岩瀬荒木町)に鎮座し、金毘羅堂(こんぴらどう=神仏習合時代の名称)と称していましたが、明治7年に現在地に遷座しています。
航海安全の祈願所で、境内には「元治二年 往来安全 天照皇太神宮」(元治2年=1865年、天照皇太神宮=伊勢神宮内宮のこと)の銘のある高さ6mの巨大な常夜灯がありますが、佐渡屋傳次郎が奉納したもので、かつてはこれが灯台の代わりをしていました。
奉納した佐渡屋は、能登国福浦湊(現・石川県志賀町の福浦港=北前船の寄港地として栄え、敦賀に次ぐ繁栄を誇った港でした)の廻船問屋「佐渡屋」(先祖が佐渡国・赤泊出身だったことから佐渡屋を名乗った)と推測されます。
この常夜灯をイメージして富山港展望台は建てられています。
ちなみに、安政6年(1859年)の記録では、東岩瀬地区には犬嶋屋仁兵衛など20軒の「諸廻船問屋」あったことがわかります。
名称 | 金刀比羅社(琴平神社)/ことひらしゃ(ことひらじんじゃ) |
所在地 | 富山県富山市東岩瀬町713-3 |
電車・バスで | 富山地方鉄道富山港線大広田駅、東岩瀬駅から徒歩7分 |
ドライブで | 北陸自動車道富山ICから約12.5km |
駐車場 | 5台/無料 |
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