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関西には活火山ゼロ! 近畿・四国に活火山がないのは、なぜ!?

関西圏にもっとも近い活火山は、加賀の白山(石川県)、続いて御嶽山(岐阜県・長野県)。中国地方には三瓶山(島根県)と阿武火山群(山口県)の2ヶ所だけで、三重、滋賀、奈良、和歌山、京都、兵庫、岡山、鳥取、広島と四国4県という広範囲に活火山はありません。なぜなのでしょう?

フィリピン海プレートが沈み込んで火山が誕生!

火山の寿命は人間の1万倍ほど、つまり数十万年〜100万年ほどだといわれています。
過去200万年に日本列島に生まれた火山は350ほどあり、現在も火山活動が続いている活火山(気象庁認定)は111もあります。

日本列島の活火山は、北海道から関東地方(伊豆諸島・小笠原の島嶼部を含む)、さらに中部地方にかけてが多く、また九州(鹿児島県の島嶼部も含む)にも数多くの活火山があります。

そんな活火山が帯状に連なる日本列島で、「活火山の空白地帯」ともいえるのが近畿から四国にかけてのエリア。
美しい成層火山で中国地方の最高峰・大山(だいせん/鳥取県)も、最後の火山活動が2万800年前ということで、活火山(おおむね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山)に指定されていません。

日本列島の地下は、富士・箱根あたりで南からのフィリピン海プレート、北からの北米プレート(オホーツクプレート)、西からのユーラシアプレート(アムールプレート)が接合し、日本列島の東の沖合から太平洋プレートが押し出す構図になっています。
太平洋プレートは日本列島の東側で千島海溝、日本海溝、伊豆・小笠原海溝の下に沈み込んでいる状態です。

南からのフィリピン海プレートは相模トラフ(トラフ=海溝よりもやや浅い海の凹み)、駿河・南海トラフで日本列島の下に沈み込んでいますが、これが南海トラフ地震を起こす原因に。
実は、このフィリピン海プレートの沈み込みこそが火山の原動力で、沈み込んだプレートからしみ出した水は(プレートは水を多く含んだスポンジのような存在)、周囲のマントルの融点を下げて溶かしてマグマ(地下で溶融した流体)が生まれます。
マントルの一部が溶け出したマグマは手のように地上へと伸び、指先の先端が活火山に当てはまります。

こうしたメカニズムから「火山はトラフに並行に連なる」という現象が生まれるのです。

フィリピン海プレートの沈み込みは、四国沖でも起こっており(南海トラフ)、「関西・四国に活火山がない理由」について、これまで多くの研究者の頭を悩ませているところでした。

そんな悩ましい状況に一石を投じたのが2020年に発表された、神戸大学研究グループの研究「活火山のない近畿地方に有馬温泉が湧く理由」。
神戸大学(吉岡翔一教授、巽好幸教授、金子克哉教授)の研究で、九州では、プレート内の水がすべてマグマを発生させるために供給されるので活火山が多いのに対し、近畿地方では有馬温泉の直下でプレートから高温の水が放出されて温泉となって湧き出し、そのためにプレート内部の水が減少して火山活動を起こすことができないことがわかってきました。

神戸大学の研究グループが出した結論は、「火山の代わりに有馬温泉」ということだったのです。

ちなみに、兵庫県豊岡市の神鍋山、兵庫県養父市と鳥取県八頭郡若桜町との県境に位置する氷ノ山も活火山ではありませんがかつては火山活動があった火山で、城崎温泉はその恩恵といえる存在。
南紀・白浜温泉に至っては、1400万年前の巨大噴火の名残といわれているのです。

関西、四国は、日本国内では珍しいほど「火山噴火の危険のない場所」で、しかも温泉の恩恵を受けることができるエリア。
その意味では世界にも例のない「別天地」とも「奇跡の地」いえる存在となっているのです。

関西には活火山ゼロ! 近畿・四国に活火山がないのは、なぜ!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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